【2月12日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)が退位の意向を固めたというニュースを世界のメディアに先駆けてつかんだイタリアの記者が、誰も予測していなかったこのスクープをものにすることができたのは、ラテン語の知識のおかげだった。

 伊ANSA通信のルイジ・コントゥ(Luigi Contu)情報部長はAFPに次のように語った。

「われわれのバチカン専門記者、Giovanna Chirriは法王のスピーチを聞いていた。あるところにくると法王は教皇枢密会議について語るのをやめた。彼女は、法王が『疲れた』『プレッシャーが大きすぎる』『辞めるつもりだ』といった内容を語ったことを聞き取った」

 Chirri記者はすぐさま事実確認のために法王庁のフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長に電話したが、返答は得られなかった。

 同記者は編集長と交わした白熱した議論の中で、自分のラテン語の能力は十分なので速報を出しても大丈夫だと熱弁した。その後、ロンバルディ広報局長から電話があり、ANSA通信の速報は11日午前11時46分(日本時間同日午後7時46分)、世界各国の報道機関に取り上げられた。

 コントゥ情報部長は笑いながら、「将来のジャーナリスト教育にとって人文知識がいかに役立つかを示す機会となった」と語った。

 同僚からの祝福を受けたChirri記者は、マイクロブログのツイッター(Twitter)で「ベネディクト16世のラテン語はとても理解しやすい」と、自身の成功について謙遜しながら語った。(c)AFP