【1月28日 AFP】香港の路上にできた列に並び、満席になった店内で見知らぬ人と相席で料理を食べる――世界で最も値段の安い「ミシュランガイド(Michelin Guide)」格付け店へようこそ。

「何洪記(Ho Hung Kee)」がレストランや宿泊施設の格付けを行う「ミシュランガイド(Michelin Guide)」の星を初めて獲得したのは2011年。以降、店内は地元客、外国人客でいっぱいだ。ワンタンやきしめん炒めの価格はおよそ35香港ドル(約410円)ほど。

 レストランは香港の繁華街、銅鑼湾(Causeway Bay)にある。小売店のビルの谷間にある50席ほどの店で、見知らぬ人と相席で食事をするのが常だ。

 料理人は朝7時から仕込みを始め、1日あたり1000人の食事客に料理をふるまう。1940年代に露店として開業し、1964年に初めて店舗を構えた。

 レストラン開業者の義理の娘で現オーナーのパティー・ホー(Patty Ho)さんは、「伝統的な食文化」を味わってもらうためにオリジナルのレシピを厳守していると語る。

「最新のレストランではワンタンの作り方を変えてしまった。エビしか使ってない。でも私たちはブタ肉を含んで、肉の味がするオリジナルのレシピを続けている」

 伝統を守ったことがミシュランガイドの星獲得につながったとホーさんは信じている。

■400円台のミシュラン体験

 台湾出身の男性(55)は、昼食の混雑を避けて早い時間帯にレストランに来た。

「上海(Shanghai)のミシュラン格付けレストランにも行ってみたけれど、一般人にはやっぱりここが来やすい。みんな大好きだ」とリンさんは語る。

「ミシュランの星獲得レストランとしては価格が素晴らしいし、味も本当に最高」と、インドネシア出身の女性(45)は語る。女性は開店5分後から家族と一緒に、外に出来た列に並んだ。

 ミシュランガイドの国際ディレクター、マイケル・エリス(Michael Ellis)氏は、高額でぜいたくなサービスで知られる香港で、低価格のミシュラン格付けレストランを楽しめることに驚く食事客が多いと語る。

「50香港ドルほどで1つ星の体験ができるのは香港だけの特徴だ。極めて手頃な価格で、間違いなく抜群の料理を食べることができる」

 ミシュランガイドは2013年の香港・マカオ版を発表したばかり。今年は新たに10軒のレストランが1つ星を獲得した。

 添好運(Tim Ho Wan)と彭慶記(Pang's Kitchen)、それに何洪記の3店舗が「世界で最も低価格で、最も手頃な1つ星の体験を提供する」とエリス氏。料理の価格は1皿30~60香港ドル(約350~700円)だ。(c)AFP/Aaron Tam