【11月20日 AFP】車内に置き忘れられた大金を、正直に会社に届け出たシンガポールのタクシー運転手に称賛の声が寄せられている──。

 タクシー運転手のシア・カ・ティアン(Sia Ka Tian)さん(70)は19日、ショッピングセンターで降車したタイ人の旅行者が車内に黒い紙袋を置き忘れた事に気づいた。袋の中身を調べたところ、現金110万シンガポールドル(約7300万円)が入っていた。驚いたティアン氏は、そのまま会社へ戻り社内の遺失物取扱所に報告したという。

 この道31年のベテラン運転手であるティアンさんは、日刊紙ザ・ストレーツ・タイムズ(The Straits Times)に「大金を見た瞬間、嫌な予感がした」と正直に述べるも、「私にとって(この)お金は大切なものではありませんでした。私の物ではないものを、どうして使うことができましょう?」と続けた。

 置き忘れた金を無事に取り戻した持ち主からは、ティアンさんに謝礼金が支払われた。またタクシー会社からも同氏の誠実なサービスを称えて賞を授与する予定だという。

 ティアンさんのタクシー会社では、2009年にもタクシー車内に37万7000シンガポールドル(約2500万円)相当の金塊11キロの起き忘れがあったが、この時も無事に持ち主の元に戻されている。(c)AFP