【7月21日 AFP】ある男性が生前、自分で書き残した死亡記事に良き思い出だけでなく「実は博士号はとっていない」といった学歴詐称など、衝撃的な告白が綴られているとして米国内で話題になっている。

 前週、咽頭がんで死亡した59歳のバル・パターソン(Val Patterson)さんは、現地紙ソルトレーク・トリビューン(Salt Lake Tribune)に掲載する自分の死亡記事に、妻への不変の愛、そしてユタ州(Utah)で謳歌した青春時代への郷愁をつづった。

 しかし、パターソンさんは自分がすべきではなかったことも全てさらけだした。

   「要するに、1971年6月にモータービュー・ドライブインの金庫を盗んだのは私だ。言わなくてもよかったかもしれないが、胸のつかえを下ろしたい」

   「あとそれから、実はPhD(博士号)はとってないんだ。何が起きたかというと、学生ローンを完済しに行った日に受付で働いていた女の子が、私のレシートを間違った書類の上に乗せたんだ。2週間後、私の郵便受けには博士号の証書が入っていた」

    「大学も3年分ぐらいの単位しかなくて、卒業すらしてないんだ。正直言って、PhDが何の略だか今でも分からないよ」

    「何人かの本当に素晴らしい人たちと友人になれたことを幸せに思う。ありがとう。ペットの犬と猫とオウムと遊ぶのも楽しかった。でも、私の魂を満たしてくれた特別な人は、永遠の愛であり友人である素晴らしい妻、メアリー・ジェーンだ。言葉では言い尽くせないほど愛している」

    「後悔するべきは、自分は無敵だと思っていた若いときにタバコを吸ったことだ。体に悪いのは分かっていたのに。そして今、私は愛するメアリー・ジェーンから、ふたりで年を重ねたり笑ったり、他愛も無い楽しいことが何千何万とできたであろうあと10年か20年かの時間を奪うのだ」

 パターソンさんは「読者の皆さん、私を知っている人もそうでない人も、ここまで読んでくれてありがとう。こうして振り返ると素晴らしい人生だったと思う」と述べ、最後にこう締めくくった。

   「永遠に生きたいのなら、私のように呼吸するのを止めてはいけないよ」

 オンライン版の死亡記事には、地元の葬儀場のウェブサイトに掲載されたパターソンさんのメモリアルビデオへのリンクが掲載されているが、一時は1分間に10万回のアクセスが殺到し、サイトがダウンした。(c)AFP