【7月5日 AFP】女性が30歳を超えたら結婚には遅すぎるとされてきたアラブ首長国連邦(UAE)で今、30歳以上の女性の約6割が独身だということが、最新の政府統計で明らかになった。30歳以上の女性に占める独身の割合は1995年にはわずか2割程度だったが、2008年にはほぼ半数となり、今回の調査では約60%に相当する17万5000人以上が未婚という結果に。

 連邦国民評議会(Federal National Council)でもここ数週間、国の人口構成に関わる重要な問題として対策が議論されている。評議会のメンバーの1人、サイード・キトビ(Said al-Kitbi)議員はAFPの取材に対し、独身であること自体が問題なのではなく、少子化を招く可能性がある点が問題だと語った。

■壁となる「婚約金」の慣習

 UAEで独身女性が増えている理由は、完全には定かではない。国内には800万人以上が在住するが、うち国民は95万人だけ。住民の大半は外国人で、外国人女性と結婚するUAE男性も増えている。現在、UAE男性のパートナーの2割が外国人女性だ。

 UAE人同士の結婚が進まないのは、男性側が負担する婚約金が非常に高いことが一因だとの指摘もある。婚約金は法律で上限を約110万円と定められているが、多くの場合、女性側の家族はそれ以上の額を要求し、1000万円を超えることもある。

 政府が運営する「結婚基金」では、経済的に苦しいカップルの結婚資金を祝い金の形で支援しているが、同基金が最近行った世論調査ではUAE女性の結婚率が低い原因として、高額の婚礼金を挙げた人が87%に上った。

■伝統と近代化の狭間で揺れる若者たち

「家庭に落ち着く」前に教育やキャリアを優先する女性が増えている点も、30歳までに結婚する女性が減っている要因と考えられている。UAE大学(UAE University)医学部の学生200人を対象としたアンケートでは、これを理由に挙げた人が57%に上った。

 たとえば30歳のUAE男性、マンスーリさんは結婚相手を探しているが、妻には働いてほしくないと思っており、どうしても働きたければパートタイムにしてほしいと話す。「成功している男性の大半は、妻が働いていないか、在宅で仕事をしている。仕事と家庭を両立させるのは不可能なんだよ」

 一方、20代女性のファルハンさんはこう訴える。「私たちは、伝統と近代化の狭間で揺らいでいる世代。リベラルな女性は軽いと見られ、保守的だと男性からは堅すぎると思われる」

 古い部族の慣習が状況をさらに難しくしている。長女より先に妹たちを結婚させない、「格の低い家」へは嫁がせないといった伝統が、結婚の機会をさらに遠ざけているとキトビ議員は指摘する。

■一夫多妻制は解決になるか?

 ところで、多くのイスラム国家同様UAEでも一夫多妻制が認められているが、興味深いことに男女学生200人に聞いた別の調査では「一夫多妻制が未婚女性増加問題の解決法になる」との回答が73%に上り、女子学生だけでも59%が賛成した。

 しかし女性ライターのサード・ミンハリ(Al-Saad al-Minhali)さんは、一夫多妻制は解決法ではないと断言している。「結婚は個人の選択。国家目標を満たすために利用されるべきではない」 (c)AFP/Emane Mohammed