【6月9日 AFP】オランダで6日、人気食材「生ニシンの酢漬け」の初競りが行われ、約45匹入りの1樽(たる)に史上最高額の9万5000ユーロ(約940万円)の値が付いた。オランダ水産局(Fisheries Bureau)が発表した。

 この初競りはニシン漁の解禁に合わせて行われる伝統行事で、28年の歴史を持つ。売り上げは慈善事業に寄付される。前年の初樽は6万7750ユーロ(約670万円)で競り落とされている。

 塩気の強いニシンの酢漬けは、オランダでは「ホランス・ニューエ」や「マーチェ(maatje)」と呼ばれ、毎年数千万匹が消費される人気食材。毎年夏になると各地の露店で販売される。尻尾を持ってタマネギやピクルスの付け合せと一緒に食べるのが作法だ。パンに挟む食べ方もあるが、真の「ニシン通」はこれには顔をしかめる。

 水産局のウェブサイトによれば、北海(North Sea)で5月末~7月頭のわずか1か月ほどの期間に水揚げされ、酢漬けに加工されるニシンの量は2万5000トン、約1億8000万匹に上る。そのうち9000万匹はドイツに、1400万匹がベルギーに輸出される。水産局の専門家によると、今年のニシンは「脂がのっていて塩辛い」そうだ。

 9日にはハーグ(The Hague)北西のスヘベニンゲン(Scheveningen)の海岸で、ニシン漁の解禁を祝うイベントがある。

 水産局のAgnes Leewis局長はAFPの取材に、ニシンの酢漬けは「オランダに根強く残る伝統。わが国は漁師の国だから、皆これ(ニシンの酢漬け)が大好きなのだ」と話した。(c)AFP