【5月9日 AFP】中国・湖北(Hubei)省の高校生が、厳しい受験戦争を乗り切るために教室で点滴を受けていると、8日付の中国国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)が報じた。

 インターネット上では、つり下げられた袋からアミノ酸の点滴を受ける高校生を写した写真が出回り、大学入試合格のためにここまでするのかという驚きと懸念が広がっている。

 写真が撮影された高校の職員が同紙に語ったところによると、試験前の点滴は気分を落ち着かせることができる上に健康に害もないため生徒の間で人気となっており、「生徒の要望がある限り、点滴を禁止せずに続けるつもりだ」という。また別の職員も、アミノ酸の点滴により生徒の健康状態が改善し、以前より活発になったと話している。

■感染症の危険も

 13億人を超える中国国民の多くは、6月に行われる大学入試は将来のキャリアや人生を決定する絶対に失敗できない試験として昔から重要視してきた。だが同紙によれば、このような点滴は不必要な上に感染症を引き起こす恐れがあると専門家らが指摘していることから、中国政府による調査が行われているという。

 ネット上には主に批判的な意見が投稿されている。ツイッター(Twitter)に似た中国のマイクロブログサービス「新浪微博(Sina Weibo)」のユーザーは、「集団点滴を受ける高校生が病気なのではない。病気なのは社会のほうだ」と投稿している。

 また別のユーザーは「これは単に、人々をだます新しい手口だ。学校側の基礎知識の欠如には驚かされる。裏でだれかが金儲けをしていることは明らかだ」と語っている。(c)AFP