【4月27日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)上空に26日、緑色の雲が出現し、気象当局が「エイリアンの襲撃ではない」と市民の不安を打ち消す異例の騒ぎとなった。

 緑色の雲は同日朝、南方からモスクワ上空に流れてきて、午後には市の中心地まで到達。仕事中の会社員らは、不気味な色に染まった空をあっけに取られて見上げた。

 露タブロイド紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)は「緑の雲がモスクワに接近」との見出しで、「これは果たして、この世の終わりが近づいていることを意味するのだろうか?」と報道。道路や車も緑色の粉塵に覆われ、市内や近郊の住民の中にはパニックを起こして緊急通報する人も出た。

 この事態に、露気象当局はウェブサイト上で「本日、モスクワ市民らはエイリアンが侵略してくるパニック映画の登場人物の気分を味わった。市南西部で、緑色に染まった空が目撃された」と発表。この雲の正体は花粉であり、エイリアンの襲撃ではないとの発表を行った。

 一方、市南部の工業地域ポドリスク(Podolsk)当局も、雲が緑色になった原因は産業事故で拡散した危険物質ではないと発表。「住民の多くは自然現象の可能性をすっかり忘れて、工場の事故が原因だと決め付けたようだが、粉塵の正体はハンノキやカバノキから出る花粉だ。今年は春の訪れが遅く、最近になって飛散が始まった」とウェブサイトで説明した。

 非常事態省によれば、気温が急激に上昇したために「数種類の樹木で花が開花した結果、黄緑色の花粉が路上や窓、車を覆う現象が発生した」という。花粉症や喘息の人には影響が出るものの、それ以外の人々にとっては「一時的に不快感をもたらすだけ」と同省は述べている。(c)AFP