【4月19日 AFP】アジアで最もセックスに消極的という定評のある香港の人々に、窮屈な住環境にめげずもっと性活動に活発になるよう、専門家たちがアドバイスしている。

 香港大学(University of Hong Kong)家庭研究院のエミール・ング(Emil Ng)教授は「香港人は世界で一番、性知識がないと言われている。その理由のひとつは、セックスをする場所がないからだ」と解説する。

 世界銀行(World Bank)の統計によると、香港の出生率は女性1人当たり平均1.04人と世界の中でも最低レベル。香港人の昇進志向のメンタリティーや経済的な問題、限られた住空間などが主な原因とみられている。ング教授は、法外に高い不動産価格も影響しているとみる。

 若い香港人たちは概して金銭的余裕がなく、結婚なり早く家を出ることができないために20代や30代まで実家にとどまっているケースが多い。窮屈なアパートで親の横で寝ていれば、プライバシーもない。ング教授は「香港は人がいすぎ、セックスをするために必要なプライバシーがないと指摘する。

 香港では前月、ング教授が企画に関わった「第5回香港性文化節(Hong Kong Sex Cultural Festival)」というフェスティバルが開催された。香港家庭計画指導会(Family Planning Association of Hong Kong)と香港性教育会(Hong Kong Sex Education Association)の協賛で、性に保守的な香港の人々に、セックスについてもっと自由な見方をプロモートすることを目的としている。

 一方で、中国全体では性に対する態度は柔らかくなりつつあるようだ。先ごろ上海(Shanghai)で行われたアジア最大の成人産業の見本市、「中国国際成人保健及び生殖健康展覧会」(チャイナ・アダルトケア・エキスポ、China Adult-Care Expo)には、9年の歴史で最多となる記録的な入場者が集まった。

 香港人の密やかな性生活を探った調査結果がある。香港城市大学(City University of Hong Kong)コミュニティーカレッジが2011年に発表した、36~80歳の男女1000人を対象とした調査では、香港の男性は平均週1.9回、女性は平均週1.6回のセックスで満足しているという。ちなみにコンドーム製造会社デュレックス(Durex)の2008年の調査によれば、ギリシャ人の性交渉の回数は週3回以上、日本人は週1回以下だ。

 また香港大学の性科学者ペチュラ・S・ホウ(Petula Ho)博士は、富やスタータスにこだわり、「女性的」な役割に対する社会的期待がある香港の文化的傾向から、男性よりも異性愛者の女性のほうがさらに難しい状況に置かれていると指摘する。

 さらに人口の男女差も女性にとっていっそう不利だ。前年の統計によると香港の20~39歳の男女の人口比率は、男性1人に対し女性が1.2人だった。ホウ博士は「ストレートの香港女性は、セックスという意味では貧しい状態に置かれている。セックスの可能性も選択肢もない」と述べている。(c)AFP/Judy Ngao

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