【4月9日 AFP】100年前に処女航海で海の底に沈んだ豪華客船タイタニック(Titanic)号の悲劇の航路をたどる「タイタニック・メモリアル・クルーズ(Titanic Memorial Cruise)」が8日、英国を出発した。

 イングランド南部サウサンプトン(Southampton)の港を出港したクルーズ船「MSバルモラル(MS Balmoral)号」には、英海運企業ホワイトスターライン(White Star Line)が所有していたタイタニック号と同じ1309人の乗客が乗船している。

 企画会社によれば、乗船者のうち約50人は犠牲者の血縁者だという。参加者の多くはエドワード朝時代風の衣服を身に着け、一等船客や普通船客、乗組員などに扮(ふん)して乗船した。

 12泊の船旅の中で、1912年4月15日にタイタニック号が氷山と衝突し沈没した位置にも立ち寄り、追悼式が行われる。

 エドワード朝時代の紳士のいでたちでクルーズに参加したグラハム・フリー(Graham Free)さん(37)は、この企画は悲劇的な事件を不当に利用したものだとは思わないと述べた。

「9歳のころからタイタニック号のファンでした。これ以上タイタニック号に近づくことができる機会はありません。軽い気持ちで参加しているのではありません。旅を楽しみ、不運にも命を落とした人々をしのぶために参加しているのです。沈没地点での追悼式は感極まるものとなるでしょう」(フリーさん)

 主催者は――安全性の問題を除き――実際のタイタニック号の航海を再現しようとしている。オリジナルのメニューにあった料理を提供し、ベルギーから呼んだ楽隊が、沈み行く船上で演奏を続けた音楽家たちに敬意を払って当時の音楽を演奏する。1人2799~5995ポンド(約36万~77万円)の料金を払って、28か国から参加者が集まった。

 ただし、MSバルモラル号は実際のタイタニック号より2日早く出航しなければならなかった。タイタニック号ほど速度が出ないためだ。(c)AFP

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