【3月6日 AFP】東京都江戸川区の葛西臨海水族園(Tokyo Sea Life Park)からフンボルトペンギン1羽が逃げ出したことが分かり、同園の関係者らが5日、ペンギンの捜索を行った。ペンギンが最後に目撃されたのは水族園付近を流れる旧江戸川の河口だった。

 逃げ出したのは1歳になる幼鳥のフンボルトペンギンで、東京湾に流れ込む旧江戸川の河口付近を泳いでいる姿が、写真にも収められている。まるで米CGアニメ映画『マダガスカル(Madagascar)』をほうふつとさせる水族園からの脱走劇だ。

 葛西臨海水族園の杉野隆(Takashi Sugino)氏によると、隣接する鳥類園の職員から逃げたペンギンの写真が添付されたEメールを4日に受信して、初めて脱走に気づいたという。来園者が提供した別の写真から、このペンギンが同園で前年1月に生まれたフンボルトペンギンであることが特定できたという。

■飛べないペンギンがなぜ

 135羽のフンボルトペンギンが飼育されている囲いの中から、このペンギンだけが脱走した経路は不明で現在、詳細を調査中だ。ペンギンが逃げ出した囲いの岩壁は、ペンギンの体長(60センチ)の約2倍もの高さがある。

「もちろん、ペンギンは飛べない」と話す杉野氏だが、野生動物が恐怖に襲われた時に発揮する「爆発的」な力に触れ、何かに非常に驚いたペンギンが岩壁をかけ登った事も考えられると述べた。

 葛西臨海水族園の関係者らは、泳いでいるペンギンが目撃された付近を中心に捜索を進めているが、ペンギンは「驚異的」な速さで泳ぐので、泳いでいるところを捕獲することは難しいと、杉野氏は話す。このため、杉野氏たちはペンギンが眠るために陸に上がってきた所を捕獲したいと考えている。

 2005年の米CGアニメ映画『マダガスカル』でも、ペンギンたちがニューヨークの動物園から脱走を図っている。(c)AFP