【2月15日 AFP】まるで子ネコが毛糸玉で遊ぶかのように、プラスチック製のドラム缶で遊んでいたホワイトライオンが氷の地面に滑ったと思いきや、すぐに体勢を立て直した。アフリカ出身の肉食獣は、カナダの寒い冬にしっかりと適応したようだ。

 隣の囲いでは、ブチハイエナが肉のごちそうにありつこうとして、氷と雪に覆われた木製の台によじ登ろうと苦労していた。

 カナダ・モントリオール(Montreal)の南70キロにある400ヘクタールの「サファリパーク」では、ライオンやハイエナ、ラクダ、ゾウなど520種の動物を見ることができる。多くはアフリカの自然から姿を消しつつある動物たちだ。

 サファリパークは冬期休業中。だがパークの「住民たち」は、寒い冬でも体を伸ばしたり新鮮な空気を吸いに、暖かい飼育舎から外に出てくる。

 同パークの動物部門の責任者、ソフィー・ロビドゥー氏によると、多くの動物たちがカナダ暮らしに適応し、雪の中で何時間も過ごしている。「動物たちを外に出さないのは、本当に寒すぎるときや、大雪のときだけです」とロビドゥー氏。動物たちは風邪をひくことも、喉を痛めることもないという。

 野生にいるときと同じ行動を動物たちに促すため、同園では肉塊などの「ごほうび」を箱に詰め、さらに入手困難な場所に隠してある。野生の狩りのように、動物たちは臭いに頼り、柱の上に飛び乗ってごほうびにありつくのだ。

■雪で滑るのが怖い?外に出ないゾウ

 一方で、冬期の間は決して外出しない動物たちもいる。たとえばチンパンジーは寒さに非常に弱いので、飼育員が外に出そうとすることさえない。ゾウたちもカナダの冬には慣れないようだ。

 40歳のメスのゾウ、チャーチルは「滑ってけがをするのを怖がっている」と飼育員は語る。だがチャーチルは人間との触れ合いが大好きで、閉所性発熱症にかかっているようなそぶりはないという。

 このサファリパークには年間およそ31万人が訪れ、800万カナダドル(約6億2000万円)の収益を生み出している。サファリパークのオーナーは、水族館やキャンプ施設を新たに作り、子ども250人が3~4日滞在できるようにして、収益を3倍増にしたいと語っている。(c)AFP/Michel Viatteau