【2月12日 AFP】カナダ西部マニトバ(Manitoba)州の獣医師協会は10日、イヌの耳の一部を切除する整形手術、「断耳」(クロッピング)を禁止すると発表した。

 マニトバ州は、アトランティック・カナダと呼ばれるカナダ東部4州に加えて、同国西部では初めてイヌの「断耳」を禁止する州となった。同州獣医師協会は、3日の年次総会でこの条例案を可決していたが、これまで公表していなかった。

 皮膚と軟骨を取り除き、耳の形を整える断耳は、生後3か月頃のグレートデン、ドーベルマン、 シュナウザー、ボクサー、ミニチュア・ピンシャーといった犬種に行われることが多い。手術では耳全体の半分近くを切除し、傷口が治るまでそえ木や保護カップなどで固定し、「立ち耳」にする。

 同協会は声明で、こうした整形手術は「イヌ科の動物には不必要で、医学的なメリットはなく、痛みやストレスを与えるものだ」と非難している。

 だが断耳には、耳がちぎれるのを防ぐ実用的な効果もあるとして、ブリーダーの間などでは禁止に反対する声も聞かれる。

 ブリーダーのシンディ・コワルチャック(Cindy Kowalchuk)氏によると、断耳を行っておけば、イヌ同士のケンカなどで耳の垂れさがった部分が傷つくことはないという。同氏はカナダ公共放送CBCのインタビューに対し、「耳がちぎれたイヌが続出するはず。それを獣医の視点ではどうやって治すのか。縫い直すことはできないだろう」と語った。

 カナダでは他に、ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州とアルバータ(Alberta)州も同様の条例制定を検討している。(c)AFP