【1月30日 AFP】エリザベス女王(Queen Elizabeth II)戴冠60周年とロンドン五輪が重なる2012年は、英国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン(God Save the Queen)」を耳にする機会が増えそうだが、女王の「臣民」たちにとってこの国歌は、みんなで声を合わせて歌いにくい旋律のようだ。

 25日に英米の研究者2人が発表した研究によると、英、米、仏、独、カナダ、オーストラリアの6か国の国歌を比較したところ、大勢で一緒に歌いやすい国歌の1位はフランス国歌の「ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)」で、「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」は最も歌いにくい国歌だとの結果が出た。

■一緒に歌うのは何人?パブで検証

 英ロンドン大学(University of London)ゴールドスミス・カレッジ(GoldSmith College)の音楽心理学者でドイツ人のダニエル・ミューレンジーフェン(Daniel Muellensiefen)氏と、同ヨーク大(York University)の音楽学者で米国出身のアリスン・ポーリー(Alisun Pawley)氏は、「発声努力」から「各フレーズの長さ」まで30種類の音楽的変数を用いて、6か国の国歌を分析する手法を開発。イングランド北部一帯のパブやクラブで6か国の国歌をかけ、一緒に歌いだした人数を数える実験を計1160回、行った。

 その結果、最も一緒に歌う人が多かったのはフランス国歌で、以下オーストラリア、ドイツ、カナダ、米国と続き、英国国歌が最下位だった。

 ポーリー氏は、「ラ・マルセイエーズ」は高い発声努力を要求するため、みんなで一緒に歌おうという弾みがつきやすいのだと分析。「フランス以外、この結果を気に入る国はないだろうがね」と述べた。

 1950年代に流行した古典ミュージカル『シンガロンガグリース(Sing-a-long-a-Grease)』(映画『グリース』の原作)のプロデューサー、ベン・フリードマン氏も、この実験結果に太鼓判を押している。「映画『カサブランカ(Casablanca)』に、ハンフリー・ボガート(Humphrey Bogart)演じるリックが経営するカフェで、ナチス・ドイツの将校たちの歌をかき消すためにフランス人レジスタンスのリーダーがバンドに『ラ・マルセイエーズ』を演奏するよう命じるシーンがある。それを聞いた店内はみんなで『ラ・マルセイエーズ』を熱唱するのだが、同じシーンは英国国歌では想像できない」
  
 ちなみに、米国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」が下から2番目だった理由についてポーリー氏は、「英国歌と同様の短所があるのに加え、歌詞の言葉が古く、使っている音域が広すぎる」からだと説明している。(c)AFP