【12月10日 AFP】冒険家の父親とともに南極点踏破を目指していた16歳の英国人女子高生アメリア・ヘンプルマンアダムス(Amelia Hempleman-Adams)さんが9日南極点に到達し、スキーで南極点に到達した世界の最年少記録を塗り替えた。

 アメリアさんは、父親のデービッド・ヘンプルマンアダムス(David Hempleman-Adams)さんらとともに、英国の探検家アーネスト・シャクルトン(Ernest Shackleton)が1907年の南極遠征で引き返すことを余儀なくされた地点からスキーで南極点に向かう156キロ、2週間の冒険に参加していた。

 約9人のパーティーは最後の14マイル(約22.5キロ)を移動し、日本時間9日午前10時30分ごろ南極点に到達した。

 南極点から衛星電話でAFPの取材に応じたアメリアさんは、「達成できたことを本当に誇りに思います。とてもうれしいです」と語った。「厳しい旅だったのでまだ実感はありませんが、何日かすれば実感がわいてくると思います。ここに着いたときはみんなで抱き合って喜びました。たどり着けて本当に良かったです」

■恋しいのは「友達」と「熱いシャワー」

 アメリアさんは学校の友達に会いたいと話した。「メッセージをくれた友達に会って、お礼を言いたいです。メッセージのおかげで前に進み続けることができましたから。いま一番欲しいのは心地よいベッドとシャワー、そしてチョコレートブラウニーです」

 アメリアさんは宿題も持参したが、荷物が重いといってデービッドさんがそりから捨ててしまったという。数冊の本は残り、それはたまたま地理の本だったが、夜遅くテントに入った後には何もする気にならなかったという。

 ヘンプルマンアダムスさんは南極点で数時間過ごした後、飛行機で海岸に近いユニオン氷河(Union Glacier)に戻り、10日にチリ南部のプンタアレナス(Punta Arenas)に到着するという。

■ギネス記録更新へ

 ギネス世界記録(Guinness World Records)によると、犬そりや動力のついた乗り物を使わずに南極点に到達した最年少記録保持者はカナダのサラ・アン・マクネアランドリー(Sarah Ann McNair-Landry)さんで、記録達成は2005年1月11日、サラさんが18歳のときだった。サラさんは母親が率いた、たこを利用した約1100キロの無補給の冒険旅行に同行した。

 ギネス世界記録の広報担当者は、16歳のアメリアさんは現在のギネス記録を更新した可能性があるので、彼女のパーティーから詳しい話を聞くのを楽しみにしていると述べた。

 もっともアメリアさん自信は記録更新にはあまり関心がないようだ。「私は記録のためにこの冒険をしたというよりも、この体験自体をしたかったんです。父親と一緒に」

 アメリアさんは英イングランド南西部の食品の冷凍保管施設で訓練して今回の冒険に備えた。

 シャクルトンの孫からもらったシャクルトンの写真を携えたアメリアさんは、英国のロバート・スコット(Robert Scott)とノルウェーのロアール・アムンゼン(Roald Amundsen)が南極点到達を競ってからちょうど100年目となる今年、アムンゼンに栄光をもたらし、スコットに悲劇をもたらした場所に到達した。(c)AFP/Robin Millard

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