【10月25日 AFP】米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)は20日、自殺を考えたことのある人が最も多い州は、モルモン教徒の多い西部ユタ(Utah)州だったとする調査結果を発表した。自殺を考えたり、計画したり、実際に試みたりした人についての州ごとの調査は初めて。

「薬物使用と健康に関する全米調査(National Survey on Drug Use and Health)」によると、ソルトレークシティー(Salt Lake City)のある、美しい自然で知られるユタ州では、2008年から09年の間に、成人15人に1人(6.8%)が自殺を真剣に考えたことがあった。一方、自殺を考えたことのある人が最も少なかったのは、米南東部のジョージア(Georgia)州で、50人に1人(2.1%)だった。

 また、過去1年間で自殺を試みたことがある人が最も多かったのは、米北東部のロードアイランド(Rhode Island)州で、67人に1人(1.5%)だった。一方、最も少なかったのはデラウェア(Delaware)州で、1000人に1人(0.1%)だった。

「自殺は個人にとっても、家族や地域社会にとっても悲劇だ。この報告書は、誰がか自殺する前に介入する機会があることを明らかにしている」と、CDCのディレクター、トーマス・フリーデン(Thomas Frieden)氏は語る。「自殺が行われる前に、危険性を特定して行動を起こすことは可能だ」

 一方、全米では、過去1年に自殺を計画したことのある成人は220万人(1%)、実際に自殺を図ったのは100万人(0.5%)だった。

■若年層、女性に目立つ自殺願望

 調査では、自殺を考えたり、計画したり、試みたりする人の割合が、18~29歳の間で高いことが分かった。全米の高校生の14%近くが、調査対象の12か月の間に、真剣に自殺を考えたと回答した。また6.3%が、自殺を1回以上試みていた。

 また、男性よりも女性の方が、真剣に自殺を考えることが多いことも分かった。

 調査によると2007年、全米で3万4000人が自殺した。15分に1人が自殺している計算になる。自殺は米国における死因の第11位だ。

 人口の約60%がモルモン教徒のユタ州が、なぜ自殺を考えたことのある人の最も多い州だったのかについて、報告書は特に説明をしていないが、歴史的に、「ロッキー山脈(Rocky Mountain)のある州を中心に、西部では常に自殺率が高かった」と指摘している。(c)AFP