【7月27日 AFP】英ロンドン(London)の高級ホテル、リッツ・ロンドン(Ritz London)で26日、仏ボルドー(Bordeaux)産の200年前の白ワインが、白ワインとして史上最も高い7万5000ポンド(約955万円)で販売された。

 このワインはシャトー・ディケム(Château d'Yquem)の1811年もので、通常の750ミリリットル入りボトルに入っている。

 フランスのワイン収集家、クリスティアン・ヴァンネク (Christian Vanneque)氏が、インドネシア・バリ(Bali)島に開業する自分の新たなレストランのために、ヴィンテージワインだけを専門に扱っているアンティーク・ワイン・カンパニー(The Antique Wine Company)から購入した。

■白なのに熟成できる、「彗星ヴィンテージ」の逸品

 1811年にはフロジェルグ彗星(Flaugergues Comet)が地球付近を通過したことから、この年に瓶詰めされたワインは「彗星ヴィンテージ」と呼ばれている。アンティーク・ワイン・カンパニーのディレクター、スティーブン・ウィリアムズ(Stephen Williams)氏は、「世界最高の白ワインであるシャトー・ディケム」の「伝説的なヴィンテージ」だと絶賛する。

 白ワインのほとんどは数年経つと味が落ちてしまうが、ボルドー地方ソーテルヌ(Sauternes)地区のシャトーで造られるシャトー・ディケムは熟成する白ワインだ。高濃度の残留糖がぶどうの自然の酸味と相まって防腐剤の役割を果たし、白ワインとしては珍しく、劣化するどころかいつまでも熟成させることができるという。

 ウィリアムズ氏はシャトー・ディケムについて「バタースコッチの芳香」がするはずだと太鼓判を押す。「クリームのようななめらかさで、口の中に芳醇な香りが広がり、甘さが余韻を残すはず。その上、このボトルは彗星ヴィンテージなのでさらに価値が高い」

■バリ島のレストランで展示

 購入したヴァンネク氏は、インドネシアに同国最大のコレクションを持つ仏ワイン収集家。このシャトー・ディケムの1811年ものは、9月にバリ島でオープンするレストラン「SIPサンセット・グリル(SIP Sunset Grill)」で展示するという。

 今回記録が破られるまで最も高額だった白ワインは、同じシャトー・ディケムの1787年もので、1本あたりの平均価格は約6万ドル(約460万円)だった。ワイン全体での史上最高額は、2010年11月にスイス・ジュネーブ(Geneva)で行われた競売大手クリスティーズ(Christie's)のオークションで取り引きされた仏ワイン、シャトー・シュヴァル・ブラン(Cheval Blanc)の1947年の赤で、珍しい6リットル入りボトルで30万4375ドル(約2360万円)だ。(c)AFP