【7月12日 AFP】ニューヨーク(New York)では、年に2回、「マンハッタンヘンジ(Manhattanhenge)」と呼ばれる現象が起こる。夕暮れ時の太陽がマンハッタンを東西に走る街路と一直線に並ぶため、光線が街路を貫き、さながら光のマジックショーを展開するかのようだ。

「マンハッタンヘンジは世界中で都市部にだけ見られる現象かもしれません」と、マンハッタンヘンジを発見したアメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)の天体物理学者、ニール・デグラス・タイソン(Neil deGrasse Tyson)氏は言う。

 マンハッタンヘンジとは、マンハッタンと英国の古代遺跡ストーンヘンジ(Stonehenge)を掛け合わせたもの。ストーンヘンジでは夏至と冬至に太陽が中心軸上を通過する。そのためストーンヘンジが暦としての役割を担い、ここで何らかの宗教儀式が行われていたと考えられている。

 一方で、マンハッタンヘンジは、夏至の前後2回、日暮れ時に発生する。子どもの頃にストーンヘンジを訪れ、巨石遺跡についてリサーチを行ったというデグラス・タイソン氏は、「太陽との位置的な一致が文化や文明に影響を及ぼしうるという気持ちが、その時に刷り込まれました」と話す。

 マンハッタンヘンジについて思索し始めたのは1996年のことで、5年後の2001年7月に写真を撮影。翌年、自然史雑誌に写真を掲載したことがきっかけで、マンハッタンヘンジの認知度が上がったという。

 なお、碁盤の目のようになった都市であれば、同じように太陽が街路に並ぶ日を予測できるが、マンハッタンヘンジほどの理想的な「一直線」にはならないという。

 今年は、既に5月30日に観測されているが、今月13日にも観測される予定だ。絶好の観測ポイントはマンハッタンの東端で、光が14丁目(14番ストリート)、23丁目、34丁目、42丁目を貫き、エンパイアステートビル(Empire State Building)やクライスラー(Chrysler)ビルが光り輝く光景が期待できるという。(c)AFP/Mariano Andrade