【6月3日 AFP】オーストラリア動物園で保護されていた3本足のウミガメ「ノエル」が野生に返されたとき、皆、ノエルの安否をとても心配した。だが、装着された発信機によると、2010年12月以降、2600キロを超える距離を泳いでおり、3本足が障害になっていないことが証明された。

 ノエルは体重93キロのメス亀。オーストラリア動物園のブライアン・コールター(Brian Coulter)さんは現地紙クーリエ・メール(Courier-Mail)に、「ノエルが3本足であることを考えると、驚異的なこと」と話し、「足の切断手術を受けたカメが生存できることが証明されたのだから、これは非常に重要な研究だ」と加えた。一部の施設ではこれまで、ノエルと同じようなカメは生存不可能との考えから、安楽死させてきたという。

 ノエルは、クイーンズランド(Queensland)州ブリスベーン(Brisbane)の東に位置するモートン湾(Moreton Bay)の海洋公園で発見された。カニ捕獲地帯で何かに絡まっていたノエルはオーストラリア動物園の野生動物保護施設に引き取られたが、左前足がひどく損傷しており、切断を余儀なくされた。

 この施設は、オーストラリアで「クロコダイル・ハンター」の愛称で知られるスティーブ・アーウィン(Steve Irwin)さんによって設立された。ここでの6週間のリハビリ後、ノエルは海に戻された。発信機によると、ノエルはモートン湾近辺まで進んだ後、南下し、今はシドニーに向かっている。(c)AFP