【5月12日 AFP】国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)は11日、世界で毎年生産される食料のうち3分の1に当たる約13億トンが無駄に廃棄されているとする報告書を発表した。

 この13億トンという数字は、世界の年間穀物生産高の半分以上にあたる。報告書によると、発展途上国では不作やインフラの不備などに起因した食料不足が問題になっているのに対し、先進国では小売業者や消費者がまだ食べられる食料を廃棄する傾向が見られる。欧米諸国で消費者が無駄に廃棄する食料は1人あたり年間95~115キロにのぼっているという。

 報告書はまた、「各種調査によると消費者は外見よりも安全性や味を重視している」のに、先進国の小売業者は食料品の外見を重視しすぎていると指摘。

■「増産」よりも「無駄にしない」ことが得策

 先進国ではさらに、特大のインスタント食品が生産されたり、レストランで「食べ放題」ビュッフェが提供されるなど、消費者は必要以上の食料を口に入れるよう仕向けられていると指摘する。

 その一方で、世界の飢餓人口は9億2500万人以上にのぼっている。報告書は、「天然資源が限られていることをかんがみると、増え続ける世界人口の食を確保するには食料の増産よりも無駄にする食料を減らす方が効率的だ」と強調している。(c)AFP