【4月30日 AFP】29日、英国のバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)に650人を招いて開かれたウィリアム王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)の結婚パーティーで、8段重ねのウエディングケーキが列席した人の注目を集めた。

 形式を重んじたウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)での荘厳な結婚式、そして多くの人が待ちわびた宮殿バルコニーでのウエディング・キスの後、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)主催のパーティーで2人は、英王室専属シェフのマーク・フラナガン(Mark Flanagan)氏率いる21人の料理人チームが用意した1万枚のカナッペをつまみ、ようやく少々リラックスできたようだ。

 パーティーの目玉となったのは英菓子職人、フィオナ・ケアンズ(Fiona Cairns)さん(56)の手によるウエディングケーキ。たっぷりのクリームと白いアイシングで覆われたケーキは、シュガーペーストで作られた900個の繊細な花に飾られていた。ケアンズさんは、元ビートルズ(Beatles)のポール・マッカートニー(Paul McCartney)さんが毎年クリスマス・ケーキを注文していることでも知られる。ウィリアム王子夫妻も普段からケアンズさんのフルーツケーキの大ファンだと言う。

 今回、ケアンズさんは2月に打診を受け、5週間かけてこのロイヤル・ウエディングケーキを製作した。ケーキは8段重ねで、全部で17個のフルーツケーキからできている。うち12個は台の部分に使われている。

 バッキンガム宮殿で会見したケアンズさんは「(パーティー会場の)ピクチャー・ギャラリーは天井が高い堂々とした部屋なので、目立ちすぎないようにしつつケーキの存在感も出したかったのですが、うまくいったと思います。キャサリン妃は高さ7フィート(約2メートル)のケーキや、細長い塔のようなケーキはご希望ではありませんでした」と語った。

 ギャラリーの壁の花冠の紋様を4段目に軽くあしらうなど、ギャラリーの建築の細部もケーキのデザインに取り入れられている。キャサリン妃は、ジョセフ・ランベス(Joseph Lambeth)製法と呼ばれる縁取りや渦巻き模様、花や草の形を模した複雑な装飾を多用するケーキの要素を取り入れることを希望したという。

 ケアンズさんは「結婚式の2日前からは、チームを連れてバッキンガム宮殿で作っていました。最も大変だったのはレスターシャー(Leicestershire)からバッキンガムへケーキを運んだこと。途中で壊してしまったら、組み立て直さなければなりませんから」と語った。

 バッキンガム宮殿の王室専属菓子職人キャスリン・ボイデン(Kathryn Boyden)さんは「言葉を失ってしまうほどのケーキ。花嫁が求めたケーキそのものだと思う。完璧なケーキだ」と称賛した。(c)AFP