【4月29日 AFP】オーストラリアの公共放送が企画した、ウィリアム(William)英王子とケイト・ミドルトン(Kate Middleton)さんの結婚式の模様を風刺の効いたコメディアンの実況で生中継する番組が、英王室の不興を買い、直前になって中止に追い込まれた。

 豪公共放送オーストラリア放送協会(ABC)は29日、英BBCから配信される結婚式のライブ映像を使い、風刺的切り口が持ち味の豪コメディアングループ「チェイサー(The Chaser)」の司会で挙式を面白おかしく生中継する予定だった。

 ABCによると、BBCなどへ事前確認したが、チェイサーの実況中継を妨げるような規制はなかったという。ところが、イースター休暇中にクラレンスハウスが急きょ「ドラマ、コメディー、風刺などの番組・コンテンツ」に結婚式の映像を使用することを禁じる規制を発表。「The Chaser's Royal Wedding Commentary(チェイサーのロイヤルウエディング実況)」は中止を余儀なくされた。

 この決定は、英皇太子公邸クラレンスハウス(Clarence House)の意向によるとみられている。豪紙オーストラリアン(Australian)は、チャールズ皇太子(Prince Charles)の秘書官がBBCを通じ、番組を放映しないとのABCの誓約書を要求したと報じている。

 また、BBCがABCに対し、規制に従わないと結婚式に関する映像を一切提供しないと脅したとの報道もある。

 ABCの番組ディレクター、キム・ダルトン(Kim Dalton)氏は、「こんな直前になって、オーストラリアの未来の国家元首の結婚式を風刺したりコメディー扱いするのは禁止だと知らされるなんて。驚き、落胆している。実況をさせたら最も楽しいのは、チェイサーに決まっている。だが、BBCとクラレンスハウスは、チェイサーは受け入れられないと決めたようだ」と述べた。

 チェイサーは、政治家や著名人を風刺するのが持ち味の豪コメディアングループ。最も知られている逸話に、2007年にシドニー(Sydney)でアジア太平洋経済協力会議(Asia Pacific Economic CooperationAPEC)が開かれた際、警備を突破して立ち入り禁止区域に車で侵入し、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者のふん装で車から降り立ったというものがある。(c)AFP/Martin Parry

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