【4月18日 AFP】香港(Hong Kong.)の英字紙サンデー・モーニング・ポスト(Sunday Morning Post)によると、香港航空(Hong Kong Airlines)ではこのほど、酔っぱらいや乱暴な乗客への対策として、全客室乗務員にカンフー(中国拳法)の訓練を義務化した。カンフーの中でも近接戦闘に優れた「詠春拳(wing chun)」の訓練を受けさせているという。

 香港航空広報によると、同航空の路線では乱暴な乗客とのトラブルが週3件のペースで起きている。

 2週間前には、北京(Beijing)発香港行きの機内で実際に、訓練を受けた女性乗務員の技が役立つ場面があったという。「酔って気分が悪くなった乗客を介抱しようとしましたが、かなり体重のあるお客様でした。普通なら女性乗務員にはお手上げの場面ですが、この乗務員は格闘訓練を受けていたので、まったく問題なく対応できました」

 新入社員のランピー・タン(Lumpy Tang)さん(22)は、格闘技訓練が業務の一環と知って「最初は驚いた」と語った。「でも、何回かレッスンに通ったら詠春拳が好きになったわ」

「機内では何が起きるかわからない。詠春拳はとても速い技なので、適してるの。自衛できるようになって安心感があるし、世界初の詠春拳を使える客室乗務員の仲間入りになれたこともうれしいわね」

 講師のキャサリン・チャン(Katherine Cheung)氏も「詠春拳は、狭く密閉された空間で使うことができる拳法。だから、機内には最適です」と、客室乗務員にぴったりの格闘技だと強調した。ただし、「覚えるのは簡単ですが、極めるのは一筋縄ではいきませんよ」だそうだ。(c)AFP