【4月7日 AFP】中国では、死後の世界でも、最新ハイテク機器を手に入れることができるらしい――。先祖の墓に参り、墓を掃除する風習がある清明節(Ching Ming Festival)を迎えた5日、中国各地で、紙で作られたiPadやノートパソコン、液晶テレビを墓に供え、あの世で使ってもらおうと燃やす人々の姿が見られた。

 紙で作られる供え物としては、お金、衣服、高級車、ハンドバッグといったものが定番だったが、今年はハイテク製品が登場。特にiPadは大人気で、供え物を売る店では品切れ状態が続いている。

 香港に店を構えるチャンさんは、「iPadは今年大ベストセラーです。古い世代も若い世代も、最新テクノロジー、最新の機種を好んで買っていきます」と話した。ちなみにiPadの供え物は1個25香港ドル(約270円)で売られている。

 香港の別の店主も、iPad、iPhone、ノートパソコン、液晶テレビの供え物を人々が「狂ったように買って」いき、追加発注してもすぐに売り切れてしまうと話した。

■「あの世で世界一周旅行を!」

 ハイテク製品の供え物は中国本土や台湾でも人気だ。

 湖北(Hubei)省武漢(Wuhan)に住むある男性は、iPadとiPhone 4の供え物を購入した。「わたしの父は大学の教授でした。心が広く、新しい物をすぐに受け入れる人でした。アップル(Apple)の製品なら父も喜ぶだろうと思ったんです」と話した。
 
 華僑コミュニティーでもこの風習は息づいている。シンガポールでは、今は亡き母親のために紙製の自家用ジェット機を買っている人がいた。「母は旅行が好きでしたから。(あの世で)世界中を旅してもらおうと思い、ボーイング(Boeing)のジャンボジェット機を買ったんです。大きな家も好きだったから、大きな一軒家も購入しましたよ。素敵な服、靴、バッグ、サングラスもね」

 台湾で供え物の製作・販売会社を経営するヤン・ハンさんは、こうした風習について、次のように解説した。「残された家族は、愛する人にこの世でしてあげられなかったことの埋め合わせをしたいんです」。この会社が扱っている供え物は、化粧品から寿司店まで多岐にわたる。日本の温泉を模したものもあり、値段は16万8000台湾ドル(約49万円)だ。

 亡くなったペット用に、ペットフードやおもちゃなどの供え物も売られているという。(c)AFP/Beh Lih Yi