【4月4日 AFP】仏北部ヌービルアンフェラン(Neuville-en-Ferrain)でこのほど、市庁舎に飾られていたフランス共和国を象徴する自由の女神マリアンヌの胸像が、市長命令で撤去されることとなった。「胸が大きすぎる」との理由だという。

 このマリアンヌ像は、地元出身の美術家カトリーヌ・ラマック(Catherine Lamacque)さんが、仏人モデルのレティシア・カスタ(Laetitia Casta)さんをイメージして制作したもので、2007年に市が1400ユーロ(約16万8000円)で購入し、市庁舎内に飾られていた。

 だが、ジェラール・コルドン(Gerard Cordon)市長は議会を説得し、今年度予算にこの像に代わる「保守的なマリアンヌ像」の購入費900ユーロ(約10万8000円)を計上した。市職員が匿名でAFP記者に語ったところによると、問題の像は「結婚式で引き合いに出されるなど、市民の間でゴシップの種になっていた」という。

 困惑しているのが、制作者のラマックさんだ。マリアンヌ像の胸が豊満なのは意図的なデザインで、「フランス共和国の寛容を象徴するため」だと主張している。「もう何年も市長の目の前にあったものなのに。しかも、複数のデザインの中からあれを選んだのは市長自身なんですよ」

「撤去決定は、あまりにも唐突」と話すラマックさんは、胸像が壊されないことだけを願っているという。

 市職員の中にも、胸像撤去を残念に思っている人もいる。やはり匿名で取材に応じたある職員は「決定は合意ではなく、市長単独によるものだ」と納得がいかない様子。ラマックさんのマリアンヌ像を「独特な個性ある作品」と評価し、「マリアンヌは母性の象徴でもある」と大きな胸への理解を示した。(c)AFP