【12月10日 AFP】米国現代語学文学協会(Modern Language AssociationMLA)は8日、2009年の米国の大学における外国語履修者数を発表した。

 この調査は1958年から行われており、今回が22回目。語学教育を実施している全米の高等教育機関の99%にあたる2514の大学の外国語授業の登録者数を調査したもので、1人の学生が複数の授業を履修している場合もある。

 これによると、前回調査が行われた2006年比で登録者の増加率がもっと大きかったのはアラビア語の46.3%だった。09年の履修者は3万5083人となり、ラテン語、ロシア語を抑えて8位に入った。

 登録者が多い上位15の言語のうち、2006年比で登録者の伸びが10%を超えた言語はアラビア語のほか、韓国・朝鮮語(19.1%)、中国語(18.2%)、アメリカ手話(16.4%)、ポルトガル語(10.8%)、日本語(10.3%)だった。

 登録者数のトップ3は2006年比で5.1%伸びたスペイン語が約86万5000人と最も多く、以下フランス語(約21万6000人)、ドイツ語(約9万6000人)が続いた。

■国際情勢を映す鏡

 フランス語は、フランスで大規模なストや暴動が起きた1968年に過去最多の約38万8000人を記録後、1980年までに約24万8000人にまで落ちた。

 ロシア語は1980年には約2万4000人だったが、ソ連崩壊の直前の1990年には約4万5000人に増えた。しかし1995年には再び約2万5000人に減った。

 アラビア語は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)がケニア・ナイロビ(Nairobi)とタンザニア・ダルエスサラーム(Dar-es-Salaam)の米大使館爆破事件で犯行声明を出した1998年の5500人から、米国がイラクに進攻する前年の2002年には1万584人に増え、09年には3万5000人を超えた。

 米国の大学ではアメリカ先住民の言語からクルド語にいたるまでさまざまな言語を学ぶことができる。アメリカ先住民の言語で一番人気が高いのはハワイ語で2009年には2000人以上が履修した。クルド語を学ぶ学生は2006年の6人から2010年の18人と3倍に増えた。 

 アフガニスタンのパシュトゥ語と新約聖書ギリシャ語は、いずれも2006年は履修者が1人もいなかったが、両言語とも2009年には95人が履修した。一方、2006年に133人だった古教会スラブ語の授業登録者は、2009年には73人に減った。(c)AFP/Karin Zeitvogel