【11月5日 AFP】オーストラリアの先住民アボリジニの女性が、アボリジニを支援する団体から「肌の色が白すぎる」との理由で採用を断られていたことが4日、公共放送ABCのウェブサイトへの本人の投稿で明らかになった。

 キャンベラ(Canberra)の大学生、タラン・ベタリッジ(Tarran Betterridge)さんは、アボリジニの教育、雇用、生活水準の向上を目指すNGO「ジェネレーション・ワン(Generation One)」が行った運動員の募集に応募した。

 だが、面接で「あなたは運動員としては『完璧』だが、当方が求めているのは『先住民らしい外見』の人です」と言われ、不採用となった。

 タランさんは、そのときの気持ちを次のように披歴している。「先住民の雇用促進をうたっている団体が、『肌色の基準』に見合わないからといって採用を渋るなんて。屈辱的で、ショックでした。肌が白いから仲間に入れてもらえないだなんて」

 同団体は、豪資源大手フォーテスキュー・メタルズ(Fortescue Metals)のアンドリュー・フォレスト(Andrew Forrest)CEOが創設した草の根レベルのNGO。

 同団体の責任者であるティム・ガートレル(Tim Gartrell)氏は、ABCラジオに対し、「われわれはニュースを聞いて非常にショックを受けている。先住民の運動員を募集しているのは事実だが、先住民らしい外見の人を採用するよう指令を出したことはない。そのようなことは活動趣旨に反する」と述べ、採用を担当した会社、エピック・プロモーションズ(Epic Promotions)との契約を打ち切ったことを明らかにした。

 なお、同氏はタランさんに謝罪したという。

 アボリジニの人口はかつて100万人を越えていたが、現在はオーストラリア全人口2200万人のうちわずか47万人にまで減っている。アボリジニの疾病率、拘禁率、失業率は非アボリジニに比べて顕著に高く、アボリジニの男性の平均寿命は非アボリジニの男性より11.5年ほど短い。(c)AFP