【11月4日 AFP】幼児に言葉を教える知育DVDを見せても、見なかった子に比べて語彙(ごい)が増えるわけではないという研究結果が3日、心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス(Psychological Science)」に掲載された。

 米バージニア大学(University of Virginia)とバンダービルト大学(Vanderbilt University)の研究チームは、生後12か月から18か月までの幼児72人を18人ずつ4つのグループに分け、知育DVDの効果を調べた。

 第1のグループは、普段よく使う物の画像を見せながら出演者が名前を教える39分のDVDを、親1人とともに視聴した。第2のグループは同じDVDを子どもひとりで視聴した。第3のグループは、このDVDを1度も視聴しなかったが、DVDに出てくる同じ25の言葉を親が積極的に教えた。そして第4のグループにはこのDVDの視聴も含め言葉を教えるための特別なことをせずに、第1~3グループの効果を計る基準とした。

 研究チームは1か月後に、DVDに出てきた言葉をどれだけ知っているか子どもたちをテストした。

■知育DVDに語彙学習効果なし

 その結果、DVDを見た子どもたちは、親と一緒に視聴したかどうかにかかわらず、DVDで教えられた言葉をほとんど吸収していないことがわかった。それどころか、DVDを全く見なかった子どもたちと比べても、学んだ言葉の数に差はなかったという。

 ちなみに、DVDの内容が気に入った親の方が、気に入らなかった親よりも「子どもがDVDから学んでいる」と感じたという。しかし、どちらの親の子どもたちも学んだ言葉の数に差はなかった。

 論文の主執筆者、バージニア大のジュディー・デローチ(Judy DeLoache)博士は、「ベビービデオを見せることに問題はない。ただ、あまり期待しない方がいいということ」と語った。

 知育DVDのベストセラー、『ベイビー・アインシュタイン』シリーズは、米国で1枚20ドル(約1600円)程度で販売されているが、デローチ博士は金額に見合った効果は得られないだろうと指摘。親たちは、成長の過程で自然に覚えた言葉をDVDの効果と考えているとし、「いずれにせよ子どもたちは言葉を覚えるのです。新しい言葉を覚えさせるのに一番いい方法は、子どもに話しかけることです」と語った。(c)AFP