【10月26日 AFP】ドイツ西部オーバーハウゼン(Oberhausen)の水族館「シーライフ(Sea Life)」は26日、2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)で次々と試合結果の占いを的中させ世界中で話題になったタコのパウル(Paul)が水槽内で死んでいるのが見つかったと発表した。

 同水族館のステファン・ポーボル(Stefan Porwoll)氏によると、パウルは夜のうちに死んでいた。自然死とみられるという。

 パウルは対戦国の国旗を入れて水槽に沈めた箱を選ぶという方法で8試合の勝敗を占い、スペインがオランダを1-0で破った決勝戦を含むすべての勝敗を的中させた。その驚異的な能力は世界中で人気を集め、ドイツでは占いの模様が生中継されるほどにまでなった。

 パウルに負けを予言された国ではバッシングも起き、パウルの生まれ故郷の英国では「裏切り者」と呼ばれ、準決勝でスペインに敗れたドイツではスシにしてやるとの脅迫も受けた。

 優勝したスペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ(Jose Luis Rodriguez Zapatero)首相はラジオ番組で、「タコの身の上を案じている。警護チームを派遣しようかとさえ考えている」と語り、ミゲル・セバスティアン(Miguel Sebastian)工業・観光・商務相が、「身の安全のために、タコを速やかにスペインに移送したほうがいい」と発言した一幕もあった。

 パウルのなきがらは当面の間は水族館で冷凍保存される。ポーボル氏は敷地内に小さな慰霊碑のようなものを作るかもしれないと話している。

「海の生き物にこんなことをするのは変に見えるかも知れませんが、パウルは短い生涯のあいだにあれほどの人気を集めたのですから、そうするのが一番いいのかもしれません」

 水族館ではすでに後継者を育てており、こちらもパウルと名付けられる予定だという。(c)AFP/Richard Carter