【9月29日 AFP】米世論調査企業ギャラップ(Gallup)は28日、米メキシコ湾(Gulf of Mexico)にある英エネルギー大手BPの掘削施設で起きた米史上最悪の原油流出事故の前後で、米メキシコ湾沿岸部の住民でうつ病との診断を受けた人が25%以上増加したとの調査結果を発表した。

 ギャラップは、4月20日に発生したBPの石油掘削施設「ディープウオーターホライズン(Deepwater Horizon)」の爆発事故発生前15週間と発生後15週間を調査。うつ病と診断されたメキシコ湾沿岸部の住民は事故前より25.6%増加した。同時期のほかの地域と比較すると、うつ病と診断された人はメキシコ湾沿岸州の沿岸部以外の地域で2.2%増にとどまり、また、それ以外の州では0.6%の増加だった。

 不安や悲しい気分が増したと回答した人は、メキシコ湾沿岸部以外の米国のほかの地域では1.8%の減少だったのに対し、メキシコ湾沿岸部住民では15.5%増えた。また、自分のコミュニティーが「生活していくのに良い場所になって行っている」と回答した人は、メキシコ湾沿岸部以外の地域では2.2%増加したのに対し、メキシコ湾沿岸部の住民では14.9%の減少となった。

■うつ病の診断25.6%増、住民のこころに打撃

 この結果についてギャラップは、「BP原油流出事故以来、メキシコ湾沿岸で生活している住民が、どれほど精神衛生やコミュニティーに対する満足感などを減少させたかを示している。メキシコ湾沿岸部の住民たちに対する精神医学的な支援を強化する必要があるとの主張に根拠を与える」結果となったと発表した。

 ギャラップは、1月2日~8月6日にかけて、ルイジアナ(Louisiana)州、ミシシッピ(Mississippi)州、アラバマ(Alabama)州、フロリダ(Florida)州、テキサス(Texas)州のメキシコ湾に面した25郡の2598人を調査。また同時期に、メキシコ湾沿岸5州の沿岸に面していない地域の住民3万人に対する調査と、メキシコ湾沿岸州以外の米国全土の17万9000人に対する調査も行った。

 保健当局は、数か月前からメキシコ湾沿岸部の住民のストレスレベルと抑うつが高まっていることに警鐘を鳴らしていた。流出事故が地域の生活全般に影響を及ぼしていることが明らかになるにつれ、米政府も、頻繁に泣く、不安や悲しい気分に打ちのめされる、アルコールや薬物の摂取が増えた、などの症状が記載された住民向けの対策シートを作成した。

 BPは8月に原油流出事故で被害を受けた州の住民のストレスや抑うつの対策に取り組む団体などに5200万ドル(約43億5000万円)を拠出すると発表している。この中には、薬物乱用対策を行うグループや州保健当局の児童家庭局などが含まれている。(c)AFP/Alex Ogle