【9月28日 AFP】中国の都市部で高齢者の自殺率が急増しているとの調査結果が、28日の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)に掲載された。医療費の高騰と都市再開発による自宅からの立ち退きが背景にあると考えられている。

 北京・清華大学(Tsinghua University)の景軍(Jing Jun)教授(社会学)によると、都市部に住む70~74歳の年間自殺率は、1990年代には10万人中13人だったが、2002~08年には同33人と急激に増えた。景教授は、旧市街の再開発計画で自宅が取り壊されることになり、別の場所に移住させられるといった都市部の傾向が大きな要因だと見ている。

 また、中国では伝統的に高齢者の面倒を親族が見るが、「一人っ子」たちが現代的なライフスタイルに染まるなか、高齢者たちの一部に「誰からも顧みられていない」といった孤独感が広がっている。

 一方で、中国全体の自殺率は、農村部の女性の自殺率の低下により、年々減少している。景教授は、都市部への大量の人口流入で農村部の女性たちが家庭内の従属的な立場から解放されたことが影響している可能性があると指摘する。

 中国では、今年に入り台湾系大手電子機器メーカー、富士康科技集団(フォックスコン、Foxconn)の工場で自殺者が相次いでおり、出稼ぎ労働者の不安定な精神状態についても世間の注目が集まっている。(c)AFP