【9月27日 AFP】米テキサス(Texas)州の教育委員会は24日、学校教科書にみられる「親イスラム・反キリスト教」的な偏向を抑制するためとして、イスラム教を過度に肯定的に描写する教科書をすべて不採用とすることを、7対6の賛成多数で決めた。

 テキサス州は米国最大の教科書市場で、同州教育委の決定は米国全土の学校で使われる教科書に影響を及ぼす。

■「イスラム教に関する記述」を制限

 同州教育委員会はこれに先だって、資本主義と共和党の価値観を支持する新しい社会科教育方針を定め、「米国が本当に政教分離のもとに設立された国であるか」を問題として取り上げてきた。

 今回の決定では、現在使用されている教科書には「ポリティカル・コレクトネスを理由にイスラム文化について取り繕い、キリスト文明にレッテルを貼っている」と指摘。「寡占状態にある米国の教科書業界に中東出身者が資金力で取り入れば、こうした宗教的に差別的な扱いが増える恐れがある」としている。

 その上で、キリスト教よりもイスラム教に多くのページを割いていたり、「不都合な部分を削除してジハード(聖戦)を定義している」もの、キリスト教の十字軍を「侵略者」と描写する一方で「イスラム教徒による征服」を「帝国建設者らによる移住」と説明するような偏向した教科書は、すべて不採用とするとの方針を示した。

■対立煽る政治的企てとの批判も

 一方、この決定は誤った主張に基づいており、教育を政治利用しようという企てだとの批判もある。

 信仰の自由や個人の自由を保護する活動を行う「テキサスフリーダムネットワーク(Texas Freedom Network)」のキャシー・ミラー(Kathy Miller)代表は、「この決定に投票した委員が、恐怖と偏見でキリスト教徒をイスラム教徒と対立させようというだけの関心で投票したとの結論に至るのは、難しいことではない」と語った。

 米国では一部で反イスラム主義的な主張が高まっており、それを受けて世界各地で抗議行動も起きている。(c)AFP