【9月11日 AFP】先進国における人口の高齢化の負担は、予想されているほど重くはないとする論文が、10日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。高齢者の健康が向上しているため。

 先進各国で65歳以上の高齢者人口が前例のない増加傾向にあるなか、オーストリアの国際応用システム分析研究所(International Institute for Applied Systems AnalysisIIASA)などの研究チームは、高齢化を測る新たな尺度を開発した。これは、長寿命化と要介護者の割合の低下を考慮に入れたものだ。

■高齢化を測る現行の尺度は時代遅れ

 現行の尺度は、大部分が、65歳以上の人口の割合に基づいた国連(UN)の高齢化予測や高齢者依存率(生産年齢人口に対する65歳以上人口の比率)に拠っている。

 だが、「固定された実年齢を尺度に用いると誤った結果を導く可能性がある」と、論文を執筆したウォーレン・サンダーソン(Warren Sanderson)教授は指摘する。残存寿命や要介護者の割合など年齢特有とされる特徴の多くは常に一定なわけではなく、将来にわたって不変であるとは考えられないためだという。

■実際より「ゆっくり」高齢化

 例えば、介護を必要としない65歳以上人口は徐々に増えており、「介護する」側に回る65歳以上の人も出てきているのが現状だ。

 介護をすることが可能な人に対する要介護者の比率を尺度にした場合、高齢化のスピードは現行の尺度の2割程度にまで減速する。

 この研究に参加した別の研究者は、「長寿命化と要介護者の割合の低下を考慮した新たな尺度を用いると、先進国の多くで、現行の尺度の場合よりもゆっくりと高齢化が進んでいることになる」と指摘した。

 論文は、各国政府が高齢化社会の経済的負担を正確に予測したり、適切な定年退職年齢を探ったりする上で、こうした新たな尺度は有用だとしている。(c)AFP