【8月22日 AFP】フランスの整形外科医が、おそらく史上初となるゴリラの人工股関節手術を行った。

 この外科医は、仏中部ポワティエ(Poitiers)のルイ・エティエンヌ・ガイエ(Louis-Etienne Gayet)医師。南西部ロマーニュ(Romagne)にある動物園から、8歳になるメスのゴリラ、クワンザ(Kwanza)が木から落ちて骨折したとの連絡を受けた。

 診察したところ、大腿骨が骨盤のすぐ近くで完全に折れ、大腿骨の端のボール状の部分(骨頭)が、骨盤のくぼみの中で前後逆になっていた。人間には比較的多い症例だが、獣医学ではほとんど聞いたことがないという。

 ガイエ医師は16日、3時間におよぶ人工股関節手術を行い、体重70キロのクワンザの骨頭を正常な向きに戻し、大腿骨の骨折した部分を15センチ大のプレートと8センチのねじでつなげた。

 クワンザはまだ若いうえ、その大腿骨が人間の成人のものと似ていたため、ガイエ医師が毎日の診療で人間の患者に使っているのと同じプレートを使うことができたことも幸いした。

 クワンザは這いまわれるほどに回復したが、骨が適切な位置に納まり、けがをする前と同じように動けるようになるかが分かるまでには6週間ほどかかるという。

 AFPの取材に対し、ガイエ医師は「素晴らしい経験だった」と語った一方で、「ゴリラの股関節手術をした医者なんて、ほかにもいるのかな?」と首をかしげた。(c)AFP