【8月19日 AFP】カナダ西部のブリティッシュコロンビア(British Columbia)州で違法栽培されていたマリフアナの見張りをしていたのは、14頭の野生のクマだった――前月30日、カナダ連邦警察(Royal Canadian Mounted Police、RCMP)が捜査中に発見した。

 18日に発表した連邦警察のフレッド・マンズベルド(Fred Mansveld)巡査部長によると、同州南東部の人里はなれた場所でマリフアナを栽培をしていたとみられる容疑者2人は、ドッグフードを使ってクロクマを栽培所におびき寄せ、マリフアナを盗もうとする人を追い払わせていたとみられる。

 麻薬捜査の際、犬や人間の見張り、さらには仕掛け爆弾などが見つかることは珍しくない。一方、今回のクマたちは、番人としては落第だった。

 マンズベルド巡査部長は「クマたちはすごくおとなしかった。ただ座って、わたしたちを眺めていたんだ。パトカーの屋根に乗って、しばらく休んでから飛び降りたクマもいた」と述べた。

 現場に居合わせた5人の警察官は全員、野生動物に慣れており、クマが攻撃的でないことを見て、警戒はしたが怖がりはしなかった。

 クロクマはカナダではよく見かけられる動物で、子連れの母親を除けばほとんどが人間と接触することなく野生で生きている。クマに餌をやることは州法で禁じられている。

 自然保護当局のデーブ・ウェブスター(Dave Webster)氏は、クマを餌付けすることは「野生動物にとって死刑を宣告されるのと同然」だと語る。一度餌付けされ、「なついた」クマは人を探し、家屋などを壊し、まれに人を襲うこともある。「自分の力で食べていけず、安全を脅かす存在だとみなされると、殺されることになる」

 カナダではそのような「厄介者」のクマが、毎年数百頭殺されているという。マンズベルド巡査部長は「親切心が結局、クマを殺すんだ。恥ずべきことだ」と語った。

 ちなみに警察官らがマリフアナ栽培所の敷地内の家に突入すると、ベッドでミニブタとアライグマが寝ていたという。「人なつこかったよ。脚に登ろうとしてきたんだ」(c)AFP

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