【8月9日 AFP】バルト海の海底で発見された約200年前のシャンパンについて、当初、ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)ではないかと期待されたが、テイスティングをした専門家によると、「味はすばらしいが」ヴーヴ・クリコではなかったことが判明したという。同社が6日明らかにした。

 前月6日、スウェーデン人のダイバーが、フィンランド・オーランド(Aaland)諸島沖の海中55メートルに沈んでいた難破船から、シャンパン30本を発見した。フランスのルイ16世(Louis XVI)からロシア皇族への贈り物だった可能性があるという。海水温が5度程度に保たれ、海水の圧力がかかる上に暗闇という海底の環境は、天然のワインセラーの役割を果たし、保存状態は完ぺきだった。

 コルクにはいかりのロゴが入っていたことから、世界5大銘柄の1つに数えられるヴーヴ・クリコではないかと推測された。だが同社は同日、旧ジュグラー(Juglar)であるとする調査およびテイスティング結果を発表した。

 数ミリリットルのテイスティングを行なった同社の最高醸造責任者ドミニク・デマルヴィル(Dominique Demarville)氏は、「光が当たると黄金色に輝き、影では灰褐色になる。最初は強烈な甘みが広がるが、だんだん酸味が上回り、口の中が新鮮な感覚で満たされる」と表現。「味が醸造時のまま閉じ込められていたようだった」と話した。

 同氏はまた、醸造年度を1800~1830年代と推定した。ロンドン(London)で前年発見された1825年のシャンパン「ペリエ・ジュエ(Perrier-Jouet)」よりは後の年代で、世界最古ではない可能性が残されたことになる。

 残りのボトルは当面、引き揚げられない予定だという。オーランド諸島の当局者は今後、難破船の荷の法的な持ち主を決定することにしている。(c)AFP

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インタビュー:リシャール・ジェフロワ氏/ドン ペリニヨン シェフ・ド・カーヴ(醸造最高責任者)