【8月4日 AFP】米ニューヨーク(New York)市の歴史的建造物委員会は3日、2001年9月11日の米同時多発テロで崩壊した世界貿易センター(World Trade Center)ビル跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」近くにイスラム教のモスクを建設する計画を事実上認める決定をした。

 モスクの建設予定地は、「グラウンド・ゼロ」から2ブロック離れたパークプレイス(Park Place)で、現在は1850年代に建てられたイタリア・ルネサンス様式の建物がある。市の歴史的建造物委員会はこの建物を保護指定リストに入れないことを9人の委員の全会一致で決めた。これにより、モスク建設の着工が事実上可能となった。

 建設計画を支持したマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長は、「世界で最も自由な都市がニューヨークだ。この事実がニューヨークを他の都市よりも強い、特別な都市にしている。夢を抱く人、一生懸命に働く人、規則に従う人すべてに(ニューヨークの)扉は開かれている」と訴えた。 

 決定はおおむね歓迎の声をもって迎えられたが、拒否反応を示す人びとも少なくない。「3000人の虐殺を美化するな」「9.11跡地のモスクに反対」「イスラム教徒は勝利の記念にモスクを建てようとしている」などと書かれたプラカードを掲げて抗議する人びともみられた。

 一方、モスク建設を支持する人々は、「モスクは欧米とイスラムとの架け橋となる」「地味なロウアーマンハッタン(Lower Manhattan)の風景を変えるものだ」「9.11以降のイスラム教徒に対する米国人の見方が変わる」などの意見を述べている。

 モスクだけでなくスポーツセンター、劇場、レストラン、デイケアセンターなどを併設した複合施設が建設される予定で、イスラム教徒以外の人にも施設を開放することで、イスラム教徒もニューヨークの社会の一部であることを示す狙いがある。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa

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