【6月22日 AFP】ブルガリア南東部にある小村ルドニク(Rudnik)。炭鉱労働者が多く暮らす人口約5000人の、旅行者がわざわざ行くほどの村ではない。ただ、双子に会いたいのであれば話は別だ――。ルドニク村は、理由ははっきりしていないものの、双子の出産率が非常に高いことで知られている。この現象についての科学的調査は行われてはいないが、住民たちはこの村の水が関係していると口をそろえる。

 テレザ・トドロバ(Tereza Todorova)さんは、自らも、そして彼女の母親も双子だ。さらに、トドロバさんも双子の妹も、ともに双子の女の子を出産している。それどころか、彼女のおば、つまり母親の双子の妹も双子の男性と結婚している。つまり、トドロバさん一族には、5組の双子がいることになる。

■双子出産率6.7%、全国平均1.5%を大きく超過

 これはほんの一例に過ぎない。公式統計によると、ルドニク村では1944年以降、56組の双子が誕生しているのだ。前年に誕生した赤ちゃん60人のうち、双子は2組の4人で、割合としては6.7%。ブルガリアの全国平均1.5%を大きく超えている。

 ルドニク村は、双子が生まれる村ということに誇りを持っており、5年前から毎年春に「双子」フェスティバルを開催しており、老いも若きもルドニク村のすべての双子が結集する。今年のフェスティバルでは、伝統的なドレスを身につけた双子の少女が村役場の庭に植樹を行ったほか、まったく見分けがつかないロマ族の双子の少女が踊りを披露した。

 29歳の女性は「結婚した時、双子の子どもを持つおばから、双子ができなくてもあきらめてはだめよと言われたわ。でも、望み通りできたの!」と顔をほころばす。59歳の元炭鉱労働者の双子の男性は、「みんなと同じように、これが普通さ。うちのばあさんだって双子だったんだぜ」と語る。

 この元炭鉱労働者の双子はロマ人だが、ルドニク村ではブルガリア人もロマ人も同じように双子の出産数が多い。

■双子誕生の秘密は「水」?

 近年の体外受精の利用の増加に伴い、ブリガリアでも多くの国と同様、双子の出産件数は増加している。だが、ルドニク村の住民は、村では自然妊娠と自然出産だと主張する。

 双子フェスティバルの主催者は、「ルドニク村の鉱水を飲んで、空気を吸って、石につまずけば、誰だって双子が産めるよ」と語る。地元当局によると、ルドニク村の水はすべての基準を満たしており、特別な科学的調査はこれまで行われていない。

 ある婦人科医は、「(地域の水や土壌に)排卵を促し、複数の卵子を作り出す要素が含まれている可能性がある」との見方を示した。その一方で、遺伝説を唱える学者もいる。(c)AFP/Vessela Sergueva