【5月14日 AFP】国連(UN)は12日、アフガニスタンで北部を中心にここ数週間、女子生徒たちが集団で突然、原因不明の不調を訴える例が相次いでいることを明らかにした。

 ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は「毒ガス攻撃だ」と断じ、旧支配勢力タリバン(Taliban)の犯行を疑う声もあるが、そうした主張を裏付ける根拠は見つかっていない。

 最も新しい例では11日、首都カブール(Kabul)と北部クンドゥズ(Kunduz)州の学校で女子生徒たちが変調を訴え、病院へ運ばれた。教育省は初期段階の調査結果について、カブールの件は通常のガス漏れによるもので、クンドゥズについては「集団的な心気症」であり、「報道されているような毒ガスの証拠はない」と発表した。

 アフガニスタンに駐留する外国軍関係者は、医学的には異常がないのに身体の異常を訴える心気症に若い女性が集団でかかると、吐き気や嘔吐(おうと)をもよおすため、今回の症状を説明しうると指摘する。

 スタファン・デミストゥーラ(Staffan de Mistura)国連特使によると原因はいまだ不明だが、少女たちの症状からの回復は比較的早い。現在、世界保健機関(WHO)や国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)など複数の国連機関とアフガニスタン政府、州各関係省庁が協力して調査している。

 毒ガス攻撃を裏付ける証拠はない一方、訪米中のカルザイ大統領は「女子学校でのガス中毒に関与する者たちに厳格な措置で臨むよう治安当局に指示した」と声明を発表した。声明では「少女たちはクンドゥズの学校で散布された有毒物質を吸い込んだ」とはっきりガスが原因だとし、「アフガニスタン人を無学なままにしようとする者たちによる非人道的行為だ」と非難した。

 カルザイ政権に対し反政府武装攻撃を繰り広げているタリバンは、過去に通学中に酸を投げつけるなど女子生徒に対する襲撃を組織的に展開したことがある。(c)AFP/Lynne O'Donnell