【3月13日 AFP】オーストラリアの動物園で、9日間という記録的な長さの「マラソン出産」を経て、一度は死産を宣告されながら息を吹き返した子どものアジアゾウに、飼育員たちが24時間かかりきりで付き添っている。

 オーストラリア、シドニー(Sydney)のタロンガ動物園(Taronga Zoo)で生まれたこの子ゾウは、まだぎごちない足取りにちなんで「ミスター・シャッフルズ(Mr. Shuffles、すり足の意)」と名づけられた。

 カメロン・カー(Cameron Kerr)園長は11日、取材に対し「このゾウが体験したのは、1万回に1回あるかないかの長時間出産。世界にも匹敵する記録はない」と語った。子ゾウはようやく自分で餌を食べ始め、ややしっかりしてきたが、まだ安心はできない段階だ。

 母親ゾウが出産を開始してから1週間、動物園は8日にいったんは子ゾウの死亡を発表した。しかし2日後の10日、産み落とされた後、完全に死んだかにみえていた子ゾウが力を振り絞り、頭を持ち上げた。

 飼育員のカタリーナ・テオドール(Katharina Theodore)さんは「最初は、とりあえず子ゾウを体外に出せたことにほっとしたんです。でも、その後子ゾウが頭を上げたときは奇跡だと思った。生きてる、生きてるってみんなが叫びました」と語った。

 子ゾウのミスター・シャッフルズと母親ゾウのポーンティップ(Porntip)は現在、暖房の効いた飼育舎で24時間態勢のケアを受けており、しばらく一般公開はされない予定だ。(c)AFP