【3月3日 AFP】米国に移住したアブドラ・カジ(Abdullah Qazi)さんは、母国アフガニスタンの暗いニュースばかりを見るのが嫌になり、アフガニスタンの良いニュースを伝えるウェブサイトを開設した。

 戦争、戦死者、自爆攻撃、麻薬密売、誘拐、女子学生に酸を浴びせる「酸」攻撃――2001年に米軍主導の攻撃によりタリバン(Taliban)政権が打倒されてから、暗いニュースばかりが届くようになった。

 そこでカジさんは良い部分も伝えようと、ウェブサイト「グッドアフガンニュース(Good Afghan News、アフガニスタンの良いニュース)」を「www.goodafghannews.com」に立ち上げた。

「ええ。良いニュースはあちこちに点在していますよ」とカジさんは、米カリフォルニア(California)州北部の自宅から、AFPの取材に電子メールで回答した。

「でも、それらのニュースはたいてい、アフガニスタンの悪いニュースが3~4本掲載されている新聞に一緒に書かれているので、誰にも注目されないのです」(カジさん)

 実際、カジさんは正しい――アフガニスタンにも良いニュースはあるのだ。

 01年以降アフガニスタンに投入された数十億ドル規模の支援で、アフガニスタン各地で道路や発電所、かんがい設備、病院などの建設が進んだ。

 女子学生を含む数百万人の子どもたちが学校へ通うようになった。

 ポリオなど予防可能な病気には対策がとられ、数千という病院が辺境地域に設立され、汚職問題は残っているとはいえ、数百万人が投票に参加した。

■「良いニュースだけ」

「グッドアフガンニュース」のメッセージが伝わるように、カジさんはウェブサイトに、アフガニスタンの伝統的なターバンを巻いたスマイルマークを掲載した。

「このサイトは良いニュースだけを伝えるという点でほかと違う。悪いニュースだったら掲載しない。悪いニュースはほかで十分に報道されているから」(アブドラ・カジさん)

 サイトの雰囲気は明るい。見出しにはたくさんの感嘆符が踊り、スタースポーツ選手や幸せそうな子どもたち、懸命に用水路を堀り、アヘンの採れるケシではなく換金作物を育てる男性たちの写真が掲載されている。

 人権侵害といった話題には、常に明るい光をあてている――例えば、女性への暴力の減少や児童虐待の減少などといったように。

「素晴らしい!世界中にいるアフガニスタンのスポーツファンにとってエキサイティングな1日」と見出しが書かれているのは、バングラデシュで最近開催された2010年南アジア競技大会(South Asian Games)に参加したバスケットボールのアフガニスタン代表チームについての記事だ。同大会でアフガニスタン選手は、5個の金メダルを獲得した。

「電力を利用できるアフガニスタン人が増加」という見出しの別の長文記事には、アフガニスタン北部の辺境の村に建設された2基の小さな発電所のニュースが報じられている。

 西部ヘラート(Herat)州で外国軍部隊が建設中の女子校についての詳細な記事もある。1996~2001年のタリバン政権下では女性が学校に行けなかったことを振り返りながら、「この学校には教室10室、事務室6室、そして体育館がある。600人の学生を受け入れることができる」と記事は伝えている。

■報道姿勢に共感集まる

「あなたを幸せにするアフガニスタンのニュース」というスローガンでカジさんが「グッドアフガンニュース」を始めてから数か月後には、アフガニスタン本国からも数千件のアクセスが記録されるようになったという。

「数千人が訪問しているのが手に取るように分かる。サイトを教えた人たちはみんなこのサイトのアイデアを気に入ってくれて、他の人たちにも広めると言ってくれる」(カジさん)

 しかし、アフガニスタンからの最高のニュースはまだ届いていない、とカジさんは話す。

「一番の願い?恒久的な平和がアフガニスタンに実現するのを見たいですね」。

(c)AFP/Sardar Ahmad


【参考】グッドアフガンニュース(英語)