【3月2日 AFP】1日に発表された、フランスの大手タイヤメーカーが発行する高級レストラン格付けガイドブック『ミシュランガイド(Michelin Guide)』フランス2010年版で、パリ(Paris)・ルーブル美術館(Louvre Museum)近くにある、仏人女性アドゥリーヌ・グラタール(Adeline Grattard)氏(32)がシェフを務めるフレンチチャイニーズレストラン「Yam'Tcha」が新たに1つ星を獲得した。

 Yam'Tchaの星獲得は、101年の伝統を誇るミシュランガイドの「伝統的すぎる」「世間とずれ過ぎている」と批判されることもある評価基準を破るものだ。

 Yam'Tchaはわずか1年前に開店したばかりだが、グラタール氏はこの店の成功を中国料理の影響のおかげだと考えている。パリでは仏人シェフによる日本料理やタイ料理とのフュージョン料理に比べ、中国料理とのフュージョン料理はあまり一般的とはいえない。

 Yam'Tchaでは、キノコと栗を使った料理には厳選された年代物の中国茶が、子豚となすの料理にはスパイシーな赤ワイン、コート・デュ・ローヌ(Cotes du Rhone)が供される。

 中国人の夫をもち、香港(Hong Kong)で2年間修行を積んだグラタール氏は、「(香港では)多くのものを見て、食べたわ。わたしの師匠は、試してみたい食材は何でも市場から持ってきてもよいと言ってくれた」と語る。

■美食の国フランスに海外の風

 ミシュランガイドの総責任者、ジャン・リュック・ナレ(Jean-Luc Naret)氏は、経済危機の中で、グラタール氏のような海外にいた若いシェフが帰国して、料理界に新たな世界を作り出していると指摘する。

「トレンドを作る若いシェフが爆発的に増えている。彼らは世界中を旅し、新たな料理手法を持ち帰っている」「フランスでは日本人シェフや女性シェフがどんどん増えている。今後数十年もしないうちに、女性シェフの影響力が増していくことを期待したい」(ナレ氏)

 今年度のミシュランガイド仏版では、3つ星を獲得したのは、わずか26店だった。新たに3つ星を獲得したのは、仏南西部の地中海に近い小村、フォンジュクス(Fontjoncouse)村にある、1992年オープンのレストラン「オーベルジュ・デュ・ビュー・ピュイ(L'Auberge du Vieux Puits)」など。2つ星は77店、1つ星は455店となった。(c)AFP/Sandra Lacut and Gersende Rambourg