【2月28日 AFP】英国の子どもたちは、インターネットやミュージックビデオ、ゲームや雑誌などを通じて性的な描写に触れすぎているとの報告書を英内務省が26日発表した。

 報告書は、性的表現のあるミュージックビデオを午後9時前には放映しないことや、裸同然の女性の写真を掲載した男性向け雑誌を15歳未満に販売しないこと、ゲーム機本体に利用年齢制限機能(ペアレンタルロック)を設けて暴力的・性的なコンテンツへのアクセスを規制すること、などを提言した。

 報告書をまとめたのは心理学者のリンダ・パパドプロス(Linda Papadopoulos)氏。「子どもたちや若者は、非常に性的な描写に触れる機会が増えているだけでなく、自分たちを『セクシー』で『ホット(性的に興奮している)』にみせなければならないと働きかけられている」と述べた。

 報告書によると、少女たちがこの状況に特に苦しんでおり、少女たちのうつ病や摂食障害、暴力などにつながっているという。一方で、少年たちも「マッチョ(男らしい)で力強く、感情を出さない」ようにするプレッシャーにさらされているとした。

 報告書は、米誌プレイボーイ(Playboy)のロゴがついた少女向けの「ブラッツ(Bratz)」人形や玩具などを取り上げ、「少女たちに対し、自分たちをセクシーに見せるよう効果的に働きかけている」例としてあげた。また、ミュージックビデオで女性が「挑発的で露出度の高い服を着て、性的に準備万端であるように描かれている」一方で、男性は「極めて男らしく、性的に支配的な立場にあるように」描かれていると批判した。

 イングランド南部にあるケント大学(Kent University)のフランク・フレディー(Frank Furedi)教授(社会学)は、問題の根本が社会全体にあるとした上で、「大きな問題の1つは、子どもと大人の間に一線を画することが出来ない大人が増えていることだ」と述べた。(c)AFP