【2月14日 AFP】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で12日、南米最大の真夏の祭典カーニバルが始まった。いろいろな意味で「豪勢な祭典」になってしまった今年のカーニバルを楽しむには大金をはたく必要がありそうだ。

 カーニバル期間中の便乗値上げはいつものことだが、今年はブラジルの経済成長と通貨レアル高もあいまって、パレードからホテルの宿泊料金まで、ありとあらゆるものに目玉が飛び出るほどの値段が付けられている。

■ホテル料金は10倍に

 毎年ロンドン(London)の厳しい寒さを逃れてリオに来ているという自動車関係の仕事をしているカール・ファーラー(Carl Farar)さん(33)は、今年は何もかも驚くほど値上がりしていると話す。

 コパカバーナ・ビーチ(Copacabana Beach)に近い普通のホテルの同じ1つの部屋に友人と2人で宿泊したが、10日間の滞在でそれぞれ5000ドル(約45万円)近くを使ったという。

 だが観光客に人気の一流ホテルと比べれば大した金額ではない。リオの2大高級ホテルの1つ、海岸沿いの壮麗なコパカバーナ・パレス(Copacabana Palace)は最も安い部屋でも1泊5000ドル(約45万円)だが、全室が予約されている。

 1泊3万5000ドル(約315万円、10%のサービス料と税金を含む)のペントハウスでさえふさがっているという。ちなみにカーニバル期間以外の最も安い部屋の宿泊料は1泊500ドル(約4万5000円)だ。

■サンバクイーンも多額を負担

 カーニバルで多大な出費を強いられるのは観光客だけではない。

 カーニバルの象徴、露出度の高いビキニでパレードの先頭で踊る「サンバクイーン」は、ビキニや背中につける天使の翼のような飾りなどの費用1万5000~3万ドル(約135万~270万円)を負担するのが一般的だ。少数ではあるが、美容整形手術を受けるサンバクイーンもいるという。

 国内主要紙フォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)によると、全国的な知名度を上げるため16万ドル(約1400万円)も払ってパレードの目立つ場所を確保したサンバクイーンもいるという。もっとも、サンバクイーンは純粋に身体的・文化的な観点から選ばれるというイメージを保ちたいサンバチームの思惑のため、この情報の真偽を確かめるのは同紙でも難しいそうだ。

 パレードに参加するサンバチームは、メンバーの衣装代やショーの振り付け代などで合わせて400万ドル(約3億6000万円)が必要となる。資金は公的助成金やスポンサー企業からの支援金、パレート観覧チケットの売上の一部、テレビの放送権料などでまかなわれる。一般の観光客でも200ドル(約1万8000円)程度を払えば衣装を着てパレードに参加させてもらえるが、これもサンバチームの資金になる。

■それでも観光客は満足

 9万人を収容するサンボドローモ(Sambodromo)スタジアムの観覧チケットを正規の値段で購入できた人は幸運だ。多くのチケットは法外な値段でダフ屋や旅行会社が転売している。

 カーニバルの費用がふくれあがったことにブラジル国内では不満の声もある。観覧料が高いため、リオの住民でありながら一度もパレードを見たことがない人もいる。だが海外からの観光客は、一生に一度の体験のためならどんな出費もいとわない。

 オーストリアから夫婦でパック旅行に参加した男性(69)は、3週間のブラジル旅行に1万2300ドル(約110万円)を支払ったが、その価値はあったと考えている。「ここでは色鮮やかなパレードやきれいな女性を見て、すてきな音楽を楽しめるよ」

 カーニバルの期間中、リオデジャネイロには海外からおよそ50万人の観光客が訪れるとみられている。(c)AFP/Marc Burleigh