【1月31日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)にある住宅団地の強制撤去を当局が進めている問題で、住民の1人がペットとして飼っているヒョウの行く末が危ぶまれている。

 モスクワ市内北西部の川沿いにあるRechnik団地の住民は、同団地は緑地に不法に造成されたものだとして、ロシアの裁判所に退去を命じられていた。

 しかし住民側は違法とは知らなかったと主張して抵抗。前週から市当局が住民の強制退去と建物解体を進めたため、住民と市当局が衝突し、ロシアのメディアもこの問題を大きく取り上げていた。

 問題のヒョウは、同団地の住宅でペットとして飼育されていた雌の「クレオパトラ(Cleopatra)」。退去させられるだけでなく、飼い主と引き離されて動物園やリハビリセンターに送られる可能性もあるという。

 ロシア天然資源省は「ヒョウの行く末に懸念を表明する。唯一の答えはヒョウを動物園かリハビリセンターに移送することだ」との声明を発表した。仮にクレオパトラが、ロシアに生息する絶滅危惧(きぐ)種のアムールヒョウだった場合、同国南部のソチ(Sochi)にある特別施設に移送されることになるという。

 クレオパトラの飼い主、Sergei Bobyshevさんは、飼育が認められる可能性はほとんど無いと述べる。「クレオパトラは連れて行かれたら死んでしまう。以前友人に1週間ほど預けていたら、全く何も食べずにわたしの帰りを待っていたんだ」とロシア通信(RIA-Novosti)に語った。

 Bobyshevさんは「奴らは家を解体するだけじゃなく、わたしの大切な仲間も連れて行ってしまうつもりなんだ」と訴えた。

 Bobyshevさんも参加する住民組合は退去命令への抵抗を続けている。Bobyshevさんは、「モスクワのこだま(Echo of Moscow)」ラジオに対し、ヒョウは4年前に市場で購入したもので、飼育するために必要な許可はすべて取っていると語った。(c)AFP