【1月2日 AFP】カンボジアで少女のころに行方不明になり、18年後にジャングルで暮らしているところを発見されたロチョム・プニン(Rochom P'ngieng)さん(28)が、動物のうなり声のような音を発するのを止めて言葉を話し始めた。プニンさんの父親が語った。

 プニンさんは1989年、プノンペン(Phnom Penh)北東610キロのラタナキリ(Ratanakkiri)州の密林で水牛の番をしているときに行方不明になった。そして2007年に、全身汚れた全裸姿で農家の食物を盗むために姿を現したところを発見された。

 プニンさんは、密林で乾燥した米粒を探し回ったために、サルのように前かがみな姿勢になっていた。また、プニンさんの父親と名乗るSal Louさんによれば、プニンさんは「動物のうなり声」を上げるだけで、明りょうな言葉をしゃべることができなかったという。

 カンボジアでプニンさんは「ジャングルウーマン」や「半動物少女」などと呼ばれている。プニンさんは、保護されてから度々病気に見舞われ、09年10月にも食事を拒否して入院生活を送っていた。

■言葉を話し始めたジャングル少女

 しかし、Sal Louさんによれば、12月に入ってから、プニンさんが公用語のクメール語を理解し始めた。さらに、Sal Louさんの母語のプノン語の言葉を話し始めたという。

 Sal Louさんは、AFPの電話取材に「普通の人間になり始めている。言葉を話し始めており、プノン語を話している」と語り、「おなかが空くと食料や水を欲しいと求めることができるようになった」と述べた。

 きっかけは、神経性疾患の治療のために、医師が数日にわたって注射による投薬をしたことだという。これによりプニンさんは非常に穏やかになり、日に日に状態が良くなっているという。

 また、以前のようにジャングルに逃走しようとする行動は無くなり、今では「ジャングルに連れて行こうとしても、家の中に居たい様子なんだ」という。最近は食事もちゃんと摂っているとのこと。(c)AFP

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