【11月21日 AFP】中国の河南省鄭州(Zhengzhou)には、拉致された子どもを捜すため中国全土を旅する親たちのグループがある。親たちは、拉致された自分の息子が工場に奴隷として売られ強制労働を強いられていると信じているという。

 そうした親の1人が、Hu Xiaojiaoさんだ。2年前の2007年、河南省や山西省にある違法経営のれんが工場や鉱山で、拉致された子供や若者が過酷な環境の下、強制労働を強いられている事実が露呈し、中国全土に衝撃が走った。ちょうどその頃、レンガ工場での強制労働に関する潜入レポートのテレビ番組を見ていた時、映像に行方不明になった自分の息子が写っていたという。それに気づいたXiaojiaoさんは急いで問題となっていた工場に向かったが、すでに工場に息子の姿はなかった。

 その後、グループの親たちとともに、仕事を探すふりをしながら無数のレンガ工場を訪れていると、Huさんは話す。だが、何の手がかりも得られていないという。

 児童や若者の強制労働事件には地元政府高官と地元警察の癒着が絡んでいるとみられている。当局の発表によると、大規模な捜索活動の後、600人以上の強制労働者が救助されたとされているが、拉致された労働者の大半は、いまだに違法経営の工場に監禁されているとみられている。

 子どもを拉致された親たちは何度も警察に助けを求めたが、何の手助けも得られなかった。そこで親たちは自分の手で問題を解決しようとグループを結成。中国の北部、中央部、東部にあるレンガ工場をめぐる旅を続けており、今年7月にも旅に出た。

 グループのメンバーの1人、Miao Lisongさんは5年前、25歳の時に行方不明になった息子を捜している。旅をする中でいくつかの工場を訪れ、そこでぼろぼろになった衣服で靴も履かずに怪我だらけの体で働いている人たちを見たという。3か所の工場では息子を見かけたという人に会うことができたが、いまだに息子は見つかっていない。

 別のメンバー、Li Yuqinさん(37)は、3年前、16歳のときに友達と外出して以来行方不明となっている息子を捜している。

「夜になるといつも息子のことを考えている。2年前に見た児童強制労働事件を報じるテレビ番組で、拉致された子どもたちがどれほど悲惨な目に遭っているかを知り、耐えられない思いだった」と、Yuqinさんは涙をこぼす。グループの親たちは、弱みにつけ込んで偽の情報を与えて金銭をだまし取ろうとする悪意のある人たちとも戦わねばならないという。

 行方知らずの子どもたちを探す親たちの中には、しだいに希望を失い、グループから離脱していく人もいる。だがXiaojiaoさん、Lisongさん、Yuqinさんのそしてグループの他の何人かは、たとえ政府の支援が無くても、探し続けると誓っている。(c)AFP/Marianne Barriaux