【11月19日 AFP】オーストラリアで16日、車で朝刊を買いに出た81歳の男性が道に迷い、警察に道を尋ねるまで実に8時間、距離にして600キロ近くを走り続けたという珍事件があった。なぜ迷ったとわかった時点で車を止めなかったのか問われた男性の答えは、「運転が好きだから」だった。

 エリック・スチュワード(Eric Steward)さんは、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州シドニー(Sydney)近郊の町ヤス(Yass)にある友人宅に滞在しており、同日朝7時半ごろ、朝刊を買うために車で友人宅を出発した。

 ところが、高速道路で逆方向に曲がってしまったエリックさん。ビクトリア(Victoria)州ジーロング(Geelong)の交番で道を尋ねたのは、すでに8時間以上もドライブした後だった。

 エリックさんが道を尋ねた交番の警官は、「笑わずにはいられませんでした。なぜもっと早く止まらなかったのかと聞くと、『だってドライブが好きなんだ』と彼は答えたんですよ」と語った。

■迷うのもドライブの楽しみ?当人はひょうひょう

「ドライブしたくて車で出かけたんだ。平和で静かなドライブをね。どこに向かっているか分からなかったが、どこかに向かっていることは知っていた。ちょっとした幸運のおかげで、再び妻に会えたよ」とエリックさん。

 一方、妻のクレア(Clare)さんは、「迷子」のエリックさんと携帯電話で話すことに成功したものの、その後でだんだん不安になってきたそうだ。「わたしが『何か近くに目印はある?』と尋ねたら、彼は『ああ、ウエストゲートブリッジ(Westgate Bridge)があるよ』と答えたの。それでようやく居場所が分かったのよ」と、メルボルン(Melbourne)の有名なランドマークが夫の発見につながったことを明かした。

 エリックさんとクレアさんは18日、メルボルンで記者会見を開いたが、エリックさんはメディアの注目など気にもとめていない様子だった。「80歳を超えると、いろいろなことが気にならなくなるんだ。あなた方も直にそうなるよ」 

 カーナビを買ったらどうかとの質問に対しては、「どうしてそんなものが欲しいんだ?道に迷えなくなってしまうじゃないか。楽しみがなくなってしまうよ」と冗談めかして返した。(c)AFP