【11月14日 AFP】宗教の垣根を越えて世界中の人びとに寛大さと平和の実現を求める声明「思いやりの憲章(Charter for Compassion)」の内容が12日、インターネット上のウェブサイト「charterforcompassion.org」で公開された。

「思いやりの憲章」は、元カトリック尼僧で宗教学者のカレン・アームストロング(Karen Armstrong)さんが発起人となり起草されたもので、世界中の宗教指導者たちの協力を得て作成されている。およそ330語でまとめられたこの憲章は、道徳と宗教の中心に思いやりをとりもどし、文化や宗教の多様性を受け入れる姿勢を育むよう呼びかけている。さらに、暴力や憎しみ、軽蔑をもたらすような聖典の解釈は正当なものではないという、古来の原則に立ち返ることも強く求めている。

 今回立ち上げられたウェブサイトは、この憲章が展開する草の根運動の内容を説明し、提唱者のメッセージを伝え、目標実現に向けて行動を起こす協力を要請するものとなっている。現在この憲章は20の言語でダウンロードできるようになっている。

 アームストロング氏は2008年に、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の著名人物がスピーチを行なうことで知られる講演会「テド(Technology, Entertainment and Design 、TED )・カンファレンス」でスピーチを行っている。今回、思いやりの憲章のウェブサイトを開設するにあたり、TEDの技術分野のメンバーの1人が協力した。

「自分自身の活動範囲内でこの世界に対してもっと思いやりを持つ必要がある。テロリストや過激派は高度なネットワークを持っている。私たちも同じようなネットワークを持つべきだ」とアームストロング氏は語っている。

「思いやりの憲章」の賛同者数は次第に増えており、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世、ヨルダンのノア女王(Queen Noor)、エジプトの大ムフティ(高位のイスラム法学者、指導者)であるアリ・ゴマー(Ali Gomaa)師、南アフリカ聖公会のデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)大主教、歌手のポール・サイモン(Paul Simon)さんなど、そうそうたるメンバーが支持を表明している。(c)AFP/Glenn Chapman

【参考】「Charter for Compassion」のサイト