【11月5日 AFP】一般的に信じられていることとは異なり、テクノロジーの進化は人びとを社会的な孤立に向かわせることはなく、インターネットや携帯電話を使用する米国人の多くが、より広く多様な社会ネットワークを築いている――。こうした事実が、米民間調査機関「ピュー・インターネット・アンド・アメリカン・ライフ・プロジェクト(Pew Internet and American Life Project)」が4日に発表した調査報告書『Social Isolation and New Technology(社会的孤立と新技術)』で明らかになった。

「調査結果は全て1つの方向を示していた。人間社会は新しいコミュニケーション技術によって、高められている」と、調査を主導したキース・ハンプトン(Keith Hampton)米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)准教授(コミュニケーション学)はいう。「インターネットや携帯電話は人びとを孤立のスパイラルに陥らせるとの思いこみは間違っている」

 今回の調査結果は、新たなテクノロジーによる社会への負の影響ばかりを強調してきた既存の調査結果をくつがえすものだという。

 ハンプトン氏によると、インターネットや携帯電話は、むしろ目覚ましい社会的効果をもたらすものだという。「人びとは新しいテクノロジーを利用して、活発な社会生活を送るための情報を共有し、コミュニティとのつながりを維持している」

 ハンプトン氏らの調査によると、自分を社会的に孤立している(重要な出来事を話したり非常に大切だと思える知り合いがいない)と考える米国人の割合は6%で、1985年からほぼ変わっていない。

 重要な出来事を話し合える人間関係の広さを示す「ディスカッション・ネットワーク」、最も信頼できる友人関係を示す「コア・ネットワーク」など、他人との関係を調べた調査では、携帯電話のユーザーは12%、ネットで写真を共有するグループとインスタントメッセージの利用者はそれぞれ9%、そうでない回答者よりもネットワークの範囲が広いことがわかった。

 また、「コア・ネットワーク」の多様性でも、携帯電話ユーザーが25%、通常のネットユーザーが15%大きく、インスタントメッセージや写真共有機能も利用するネットユーザーでの数値は、さらに大きかった。(c)AFP